ガーナ代表としても活躍するアントワーヌ・セメンヨは、2023年にブリストル・シティからボーンマスに加入。以来、目覚ましい成長を遂げ、2024-25シーズンには公式戦42試合で13ゴール7アシストと攻撃の中心を担った。両ウイングや中央でのプレーもこなせるユーティリティ性が、アンドニ・イラオラ率いるボーンマスの戦術に欠かせない存在となっている。
このパフォーマンスを受けて、マンチェスター・ユナイテッドとトッテナム・ホットスパーが獲得に動いているが、ボーンマス側が提示した評価額は6500万〜7000万ポンドに達すると、英『The Athletic』が報じている。選手がまだ4年の契約を残しており、昨夏の加入時にも1000万ポンドを投じたばかりであることが背景にある。
さらに、ボーンマスはすでにこの夏の移籍市場で巨額の収益を確保。ディーン・ハイセンがレアル・マドリードに5000万ポンドで移籍し、左サイドバックのミロシュ・ケルケスもリヴァプール加入が濃厚とされるなか、すでにフランス人DFアドリアン・トルフェールを後釜として確保している。センターバックのイリア・ザバルニーにもパリ・サンジェルマンが関心を示しており、7000万ポンド級のオファーも飛び交っていると見られている。
このように、複数の主力選手の売却で9000万ポンド以上の資金を手にしたボーンマスにとって、セメンヨを安値で手放す理由は見当たらない。
ユナイテッドとスパーズ、前線強化の補強リストを模索中
マンチェスター・ユナイテッドとトッテナムは、ともにアタッカーの層を厚くする必要に迫られている。トッテナムはすでにセメンヨに対して正式なアプローチを行ったとされるが、高額な移籍金がネックとなっており、現時点では交渉を一時中断しているとも、英『The Athletic』が伝えている。
一方、ユナイテッドはすでにウルヴァーハンプトンからマテウス・クーニャを6250万ポンドで獲得済み。これにより前線の選択肢は一つ増えたが、それでもセメンヨのような多才な攻撃陣の補完は魅力的なはずだ。
両クラブはさらに、ブレントフォードのスターであるブライアン・ムベウモを巡っても競合している。とくにスパーズの新指揮官トーマス・フランクにとっては、かつての教え子を再び指導できる機会でもあり、獲得への意欲は強い。だが、ムベウモ本人はユナイテッドへの加入を希望していると報じられており、こちらも一筋縄ではいかない構図となっている。
加えて、トッテナムは今夏にケヴィン・ダンソとマティス・テルの完全移籍を成立させたものの、新規補強はまだ限定的。中盤の強化も視野に入れており、クリスタル・パレスのエベレチ・エゼを狙っていると、英『Express Sport』が報じている。
リヴァプールもかつてセメンヨに関心を示したクラブの一つだが、現在はフロリアン・ヴィルツやジェレミー・フリンポン、ミロシュ・ケルケズといったターゲットに2億ポンド以上を費やす構えであり、セメンヨ獲得に動く可能性は低い。
アントワーヌ・セメンヨというタレントを巡る争奪戦は、今夏のプレミアリーグ移籍市場を象徴する存在とも言える。各クラブの戦略と交渉力が問われる中、果たしてこの万能型ストライカーはどのユニフォームに袖を通すのか。