プレミアリーグの各クラブが激しく動き、盛り上がりを見せる移籍マーケットにおいて、ノッティンガム・フォレストもその波に乗っている。関心を寄せているのは、チャンピオンシップに降格したレスター・シティ所属の若手左サイドバック、ヴィクトル・クリスティアンセン。欧州カンファレンスリーグを戦う来季に向け、フォレストが守備の補強に乗り出した可能性が高まっている。
デンマーク出身の22歳は、2023年1月にコペンハーゲンからレスターに加入。2028年まで契約を残しているが、クラブの降格により今夏の移籍が現実味を帯びてきた。移籍市場に詳しいファブリツィオ・ロマーノ氏も、自身のX(旧Twitter)で「ノッティンガム・フォレストが最新の関心クラブであり、クリスティアンセンはリストに含まれている」と伝えている。
フォレストの左サイドバックは、昨季ハリー・トフォロやアレックス・モレノの離脱により手薄な状態が続いており、シーズン終盤にはネコ・ウィリアムズが本来の右サイドから回ってポジションを埋める形となっていた。オマル・リチャーズもリオ・アヴェへのローンから戻っているが、ヌーノ・エスピリト・サント監督の構想に含まれるかは不透明だ。
セリエAでの成功経験と今夏の去就
クリスティアンセンはレスター加入後、エンツォ・マレスカ前監督の下では中央に絞る特殊なサイドバックの役割に適応できず、昨季はボローニャにローン移籍。イタリアでは左サイドの主力として安定したプレーを披露し、クラブのチャンピオンズリーグ出場権獲得に貢献した。
今季レスターに復帰すると、全大会31試合に出場し左サイドの第一選択肢として信頼を得たが、終盤はルーク・トーマスにポジションを奪われる形で出場機会が減少。シーズン最終盤7試合での先発は、ボーンマス戦でのウィング起用の1試合のみとなっている。このポジション争いの激化が、今夏の移籍を後押ししている背景のひとつだ。
伊『Tipsbladet』によれば、ASローマやサンダーランドも獲得に興味を示しており、サンダーランドにはローマ元スポーツディレクターのフローラン・ギソルフィが加わったことも、交渉を左右する要素となり得る。ジャンルカ・ディ・マルツィオ氏も同メディアに対し、今後の移籍の可能性について言及している。
フォレストにとって、欧州カンファレンスリーグという新たな舞台を戦い抜くためには、ポジションごとの厚みが求められる。怪我や疲労による戦力低下を避けるためにも、複数ポジションでプレー可能な若手の獲得は重要課題となる。クリスティアンセンはその点でも理想的な補強候補と言えるだろう。
なお、レスターは少なくとも1000万ポンド以上の移籍金を求めているとされており、フォレストがこの要求を飲むか、あるいは交渉でどこまで譲歩を引き出せるかが注目される。
今季のプレミアリーグで再び中位以上を目指し、かつ欧州戦線でも一定の成績を残すには、守備の安定と柔軟性を兼ね備えた戦力の確保が欠かせない。クリスティアンセンは、イングランドとイタリアという異なる環境での経験を持ち、若手ながらも十分な実戦感覚を有する。
ただし、競合相手が増える中で、フォレストがこの争奪戦を制するのは容易ではない。とはいえ、ヌーノ監督の下で強化の柱とされる左サイドバックにおいて、このタイミングでの補強はクラブの成績に直結する重要な戦力となるだろう。
正式オファーに至るかは今後の進展次第だが、フォレストが本気で欧州戦を見据えるならば、クリスティアンセンのような将来性と即戦力を兼ね備えた存在の確保は急務だが…。