マンチェスター・ユナイテッドが長年追い続けてきた右ウイングバックの補強に向けて、大きな一歩を踏み出そうとしている。英『The Express』によれば、インテル・ミラノに所属するオランダ代表DFデンゼル・ダンフリースの獲得に関して、ユナイテッドは “約2週間” 以内に動かなければならない状況にあると伝えている。
インテル側が設定したとされる放出条項は2100万ポンドと、現代の市場価格では破格の金額。この移籍金で即戦力クラスの右ウイングバックを手に入れられる状況は、同クラブにとってまたとない好機だが、それには時間との戦いが伴う。
昨シーズンのインテルで11ゴール5アシストを記録し、セリエAやチャンピオンズリーグでも安定したパフォーマンスを披露したダンフリースは、守備的ウイングバックではない。前への推進力に優れ、攻撃時にはウイングのような役割も果たすことができる。その上で、状況によってはセンターバックの役割も担えるユーティリティ性も兼ね備えている。
ユナイテッドは今夏、ルベン・アモリム監督のもとで初めてのフルシーズンを前に戦力強化に邁進している。また、彼の代名詞である3-4-3システムの浸透を進めている。この布陣において、サイドの選手には攻守両面での貢献が求められるが、ダンフリースはその要件を高いレベルで満たす稀有な存在だ。
プレシーズンを前にアモリム監督が本格的に戦術を落とし込むタイミングで、即戦力としての補強が求められている状況を考えると、今夏の補強戦略において彼の名前が再び浮上したのは自然な流れだろう。
バルセロナも状況に注目?移籍決断は時間との勝負に
この放出条項が適用されるのは7月中旬までとされており、時間的な猶予はごく限られている。著名ジャーナリストのファブリツィオ・ロマーノ氏も、自身のSNSやYouTubeチャンネルにてこの情報を繰り返し取り上げており、信ぴょう性は高い。
ユナイテッドが正式オファーに踏み切るかどうかが注目されるが、実はライバルクラブもこの動向を見逃してはいない。スペインの名門バルセロナもダンフリースの状況をモニタリングしており、ユナイテッドとしては獲得を急がなければ他クラブに先を越されるリスクもある。
ユナイテッドはすでにマテウス・クーニャをウルブスから獲得しており、攻撃陣の補強に加えて守備的選手の強化も視野に入れている。特にアマド・ディアロをより高い位置で起用するためには、右ウイングバックにダンフリースのような安定感のある選手を置くことが戦術的にも重要になってくる。
また、ブレントフォードのブライアン・ムベウモをめぐる交渉にも間接的な影響を及ぼす可能性があり、ダンフリース獲得が実現すればその必要性は相対的に低下することになるだろう。
インテルとの契約が2025年6月までに迫るなか、クラブ側としても今夏での売却を視野に入れているという見方が有力。
ユナイテッドが求める即戦力、アモリム体制への適応力、さらにはスカッド全体のバランスを考慮すれば、ダンフリースの獲得は極めて理にかなった補強になる。だが、移籍市場ではタイミングが全てであり、交渉が長引けばこのチャンスは失われてしまうかもしれない。
この2週間でユナイテッドがどう動くのか。そしてダンフリースが次なるキャリアに選ぶクラブはどこになるのか。