ブレントフォードは最大の攻撃ペアを失う可能性に見舞われている。カメルーン代表FWブライアン・ムベウモはマンチェスター・ユナイテッド行きに向けて話し合いが実施されており、そのパートナーであるヨアネ・ウィサの去就も慌ただしくなってきた。
昨季プレミアリーグで19得点を挙げたストライカーは、自身の去就に関して退団の意向を明確にしているとされ、トッテナム・ホットスパーとノッティンガム・フォレストが激しく動いている状況が続いていると、イギリスメディア『talkSPORT』が伝えた。
中でも注目されるのは、トッテナムが指揮官に迎えたトーマス・フランクの存在だ。ブレントフォード時代にウィサを指導していた旧知の仲であり、本人もフランクとの再会を望んでいるという。仮に移籍が実現すれば、恩師の下で再びプレミアの舞台を駆け回ることになる。
ただし移籍交渉は簡単ではない。ブレントフォード側は売却に慎重で、ノッティンガムからの最初のオファーもすでに拒否。しかし交渉の扉は閉じられておらず、同クラブは移籍金として5000万ポンドを要求している。
ウィサは4年前にロリアンから850万ポンドで加入し、ここまで順調なキャリアを築いてきた。その価値は今や6倍に膨れ上がり、今夏のブレントフォードで最も高額の移籍候補にまで成長した。
チーム再編進めるブレントフォードと、強化加速する両クラブ
ブレントフォードは現在、主力選手の大量流出に直面している。トーマス・フランク監督のトッテナム就任に始まり、キャプテンのクリスティアン・ノアゴールがアーセナル、GKマーク・フレッケンがレバークーゼンへ移籍。
さらに、ブライアン・ムベウモにもマンチェスター・ユナイテッドから6250万ポンドのオファーが届いており、得点源コンビの解体も時間の問題だ。
ただ、クラブは次の一手も着実に進めている。リバプールからGKクィービーン・ケレハーを獲得し、フェイエノールトからMFアントニ・ミランボをクラブ史上最高額となる1700万ポンドで補強済み。新監督キース・アンドリュースの下、1億ポンド以上の売却収入を活用し、積極的な再構築を進めている。
一方、トッテナムはすでに複数の大型補強を完了しており、資金面で余裕のあるクラブだ。ヨーロッパリーグ制覇とチャンピオンズリーグ出場権獲得を背景に、クドゥス(5500万ポンド)やギブス=ホワイト(6000万ポンド)、マティス・テル、ケビン・ダンソらを高額で獲得。今夏だけで1億ポンドをはるかに超える補強を行っている。
ただし、ギブス=ホワイトに関してはアプローチ手法が違法だった可能性があり、ノッティンガム・フォレストが提訴。その影響を受けて、トッテナム入りは現状頓挫している。
トッテナムに徹底抗戦する構えのノッティンガム・フォレストも侮れない。もしギブス=ホワイトの売却が成立すれば、移籍金をウィサ獲得資金に充てることが可能。同クラブは昨季、プレミア残留を超える躍進を遂げ、カンファレンスリーグの出場権を確保。欧州の舞台で戦うためにも、得点力のあるストライカーを求めており、ウィサはその理想像にぴたりと重なる。
ウィサがどのクラブを選ぶかは、今後のプレミアリーグの戦力バランスにも大きな影響を与える。トッテナムで旧師との再会を果たすのか、それともノッティンガムで新たな挑戦を選ぶのか。ブレントフォードにとっては、ウィサを失うことが戦力的には痛手だが、財政的には大きな恩恵となる。