移籍市場が例年にも増して活況を迎える中、ドイツの名門バイエルン・ミュンヘンが、チェルシーに所属するフランス人右サイドバック、マロ・ギュストに強い興味を示している。しかし、この動きには明確な前提条件が付きまとう。すなわち、バイエルン側の売却が優先される。
今夏のバイエルンは、前線の補強に重きを置いており、リバプールFWルイス・ディアスやシュトゥットガルトFWニック・ウォルトメイドら攻撃的ポジションへの投資が進行中。それでも、守備の再編も並行して模索しており、その中で注目株に浮上したのが22歳のマロ・ギュストだ。
サイモン・フィリップス記者は先月、バイエルンがすでにチェルシーへアプローチしたと伝えており、仏『L’Équipe』も先週、バイエルン側が選手に関心を示していると報じている。これらの動きから、単なる関心の域を超えた実際の交渉フェーズに入っている可能性がある。
チェルシーの財政圧力とギュストの立ち位置
マロ・ギュストの去就に影響を及ぼすのは、バイエルン側の事情だけではない。チェルシーもまた、財政面で苦しい舵取りを強いられている。プレミアリーグの損失制限ルールや、UEFAの財政的フェアプレーを遵守するため、今夏の放出は不可避との見方が強い。
ギュストは2023年に約2,630万ポンドでリヨンから加入。負傷離脱の多いジェームズを支える形で貴重な存在となっていた。ただし、スタメン確約とまではいかず、仮に好条件のオファーが届けばクラブが耳を傾ける可能性もある。
一方で、バイエルンが獲得に踏み切るには、まず現有戦力の整理が不可欠だ。独『Bild』クリスティアン・ファルク記者によれば、クラブはコンラート・ライマーやヨシプ・スタニシッチの放出には消極的で、代わりにサシャ・ボエの売却を検討しているそうだ。
サシャ・ボエを放出できた場合にのみギュスト獲得の道が開けると語っており、現実的にはまず不要な戦力の整理が最優先事項となっている。
バイエルンが今後の数週間で守備陣の整理に動けるかどうか。そして、チェルシーが今夏の補強資金確保のためにギュストの売却を決断するか。双方の思惑が交錯する中、この取引はまだ成立前夜。
いずれにせよ、バイエルンはギュストのポテンシャルを高く評価しており、攻撃陣の強化と並行して、守備陣の若返りにも視線を送っている。今後の動き次第では、ギュストがアリアンツ・アレーナに姿を現す日もそう遠くはないかもしれない。