若き守備の逸材、ディーン・ハイセンを巡る争奪戦でレアル・マドリードに敗れたチェルシーが、新たなターゲットとしてラツィオのスペイン人CBマリオ・ヒラに関心を強めている。センターバック陣の再構築が急務となっている中、24歳のヒラがロンドン行きの有力候補として浮上してきた。
チェルシーが長期的な守備強化の柱として注目していたのが、今季ユヴェントスからボーンマスに加入し、イングランド国内でも屈指のパフォーマンスを披露してきた20歳のスペイン代表CB、ディーン・ハイセンだった。
アーセナルやリバプールらも参加し、欧州のビッグクラブがこぞって注目する存在となっていたが、スペイン代表DFが熱望していたレアル・マドリードが交渉をまとめ、完全合意を取り付けた。
英『TEAMtalk』フレイザー・フレッチャー記者によると、チェルシーは即座に代替候補のリストアップを開始。白羽の矢を立てたのが、ラツィオで台頭を遂げたマリオ・ヒラだった。
マリオ・ヒラはバルセロナ出身のセンターバックで、レアル・マドリードのアカデミーで成長し、2022年夏にセリエAの名門ラツィオへと完全移籍を果たした。今季はマルコ・バローニ監督の下で公式戦41試合に出場し、2ゴールを記録。不動のレギュラーとして守備の要を担っている。
冷静なビルドアップ、空中戦での強さ、そして複数のフォーメーションに対応可能な柔軟性を兼ね備えたヒラのプレースタイルは、エンツォ・マレスカ監督が掲げる後方からの組み立てに見事にフィットするものだ。
チェルシーは現在、ウェスレイ・フォファナの長期離脱やアクセル・ディサシの退団説、さらにはトレヴォ・チャロバーやレナト・ヴェイガの去就不透明といった事情から、守備陣の再構築を迫られている。
経験と実力を兼ね備えた即戦力が求められる中、ヒラのような24歳という年齢でありながら実績十分なCBは、まさにうってつけの存在といえるだろう。
インテル、マンCも関心 移籍金は48億円超か
もっとも、ヒラの獲得は決して容易ではない。ラツィオは2027年まで契約を結んでいるこの若手CBの放出に消極的とされ、移籍金は2530万ポンドを超える可能性がある。
さらに、マンチェスター・シティやACミラン、そしてかねてより強い関心を示しているインテル・ミラノもヒラ獲得を視野に入れており、熾烈な争奪戦が予想される。加えて、レアル・マドリードが将来的な売却益を狙った“セルオン条項”を保持しているとも報じられており、交渉は一筋縄ではいかないだろう。
チェルシーはヒラに加えて、他のCB候補にも目を向けている。中でも、クリスタル・パレスのキャプテン、マルク・グエイは1月にも獲得が検討された逸材であり、今夏に契約が残り1年を迎えることから、比較的安価での獲得が期待されている。
また、エヴァートン所属で以前ユナイテッド移籍が噂されたジャラッド・ブランスウェイトもリストアップされており、チェルシーは慎重かつ積極的に守備陣の刷新を進めている。
複数クラブとの争奪戦、ラツィオ側の移籍金設定、そしてマレスカ体制の2年目に向けたスカッド構築。そのすべてのピースが噛み合ったとき、ヒラの“ブルー”への移籍は現実味を帯びてくる。