若き守備者クリスティアン・モスケラ、アーセナルの最終ラインに新たな風

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若き守備者クリスティアン・モスケラ、アーセナルの最終ラインに新たな風 Arsenal

アーセナルがスペインから将来性あふれるセンターバックを獲得した。スペインU-21代表のクリスティアン・モスケラがバレンシアから加入し、ガナーズとの長期契約を締結。今夏5人目の補強、かつ3人目のスペイン人選手として、北ロンドンの地を踏むことになった。

191cmの長身を誇るこの21歳のディフェンダーは、2024/25シーズンに41試合に出場し、クラブで不可欠な存在に。そんなモスケラがどのようなキャリアを歩み、アーセナルにもたらすものは何か。彼の軌跡と特徴を振り返る。

バスケットボール少年から、守備職人への転身

モスケラは2004年にスペイン・アリカンテで生まれた。コロンビアにルーツを持つ彼は、幼少期はNBAに熱中し、パウ・ガソルに憧れていた。バスケットボールに打ち込んでいた少年時代、彼の転機は突如訪れる。いとこが所属していたフットサルチームの助っ人として試合に出場したことが、フットボール人生の始まりだった。

その後、地元クラブであるSCDカロリナスやエルクレスCFでプレーを重ね、12歳でバレンシアのアカデミーに加入。育成に定評のあるクラブでメキメキと頭角を現し、スペイン国内で一気に注目の的になった。

バレンシアで急成長、10代でラ・リーガの主軸に

2022年1月、モスケラは17歳でトップチームデビューを果たす。当時の対戦相手はコパ・デル・レイのアトレティコ・バレアレス。この試合でクラブ史上最年少のセンターバック出場記録を打ち立て、すぐにラ・リーガのセビージャ戦でもピッチに立った。

翌2023/24シーズンには完全にトップチームへ昇格。リーグ戦38試合中33試合に先発出場。わずか19歳にして3,075分のプレー時間を記録し、これはフィールドプレーヤーで9番目の長さだった。その後も21歳以下で最多となる73試合・6,394分出場を重ね、守備の中心として存在感を発揮した。

この安定感と継続性は、欧州5大リーグの中でも際立っており、若き守備者としての評価を確固たるものにしている。

次世代型センターバック、求められるすべてを備える存在

モスケラの特徴は、単なる高さや体格だけでは語れない。1対1の守備能力に優れ、2024/25シーズンにおけるタックル成功率は76.7%と圧巻。これは50回以上ドリブルを受けた選手の中で最も高い数値だった。

空中戦での課題は残るが、地上戦での粘り強さ、インターセプト、ボール奪取の能力は高く、さらにボール保持時のパス成功率も90.9%。ドリブル成功率も86%と、現代サッカーに求められるセンターバック像を体現している。

彼のプレースタイルはレアル・マドリードのドイツ代表DFアントニオ・リュディガーと比較されており、力強さと戦術眼を兼ね備えた選手との評価を得ている。また、ファン・ダイクのようにミスを即座に修正する能力にも定評がある。

アーセナルでの未来、期待と課題

スポーツディレクターのアンドレア・ベルタは、「欧州でも最も有望な若手センターバックの1人」と評し、アルテタ監督も「中央でもサイドでもプレーできるインテリジェントなDF」とコメントを残している。

空中戦への対応力は今後の課題だが、バスケットボール由来のジャンプ力と動体視力を活かせば、さらなる成長が期待できる。

スペインU-21代表として34キャップを誇り、2024年のパリ五輪では金メダルメンバーにも名を連ねたモスケラ。アジアでのプレシーズンツアーに合流予定であり、背番号3を背負ってアーセナルで新たな挑戦に挑む。