雲が晴れた瞬間、すべてが変わった。2年間にわたってルーカス・パケタを覆い続けた八百長疑惑が、ついに完全に晴れ渡った。独立規制委員会による公式発表が間もなく行われる見通しとなった。しかし、この朗報がもたらしたのは、ブラジル人ミッドフィルダーの新たな未来への扉だった。
27歳の攻撃的MFは、ロンドンスタジアムでの3年間の歳月を経て、人生最大の岐路に立っている。2022年夏、リヨンから5100万ポンドという当時のクラブレコード移籍金でウェストハムに加入したパケタは、持ち前のテクニックと創造性でハマーズファンを魅了してきた。
しかし、イングランドサッカー協会による八百長疑惑の調査により、マンチェスター・シティへの8000万ポンドという夢の移籍が白紙となった苦い過去を持つ。
解放されたハマーズの大胆な決断
疑惑の完全払拭により、ウェストハムは長期間凍結状態にあった重要な決断を下した。選手の疑惑が晴れることを受けて、ハマーズは資金調達のためパケタを今夏に売却する計画を立て、同時に選手に新たなスタートを与える意向を固めたと、英『Daily Mail』が報じた。
クラブが設定している価格は3000万ポンド。これは2022年の獲得時の約6割に相当する金額だが、現在の市場状況と選手の置かれた特殊な状況を考慮すれば、現実的な判断といえるだろう。
この価格設定は、2年前にマンチェスター・シティから提示されていた8000万ポンドから大幅な減額となっているが、ウェストハムにとっては新体制下での戦力補強資金確保という重要な意味を持つ。グラハム・ポッター監督のもとでチーム再建を図るハマーズにとって、パケタの売却収入は夏の補強戦略の要となる。
パケタ自身も、2年間にわたって頭上に垂れ込んでいた疑惑の雲が晴れたことで、新天地での再出発への意欲を見せている。昨シーズンはプレミアリーグで33試合に出場し、持ち前のパスセンスと得点力でチームに貢献したものの、精神的な重圧が完全にパフォーマンスに影響していなかったとは言い切れなかった。
母国フラメンゴが熱視線、シティも関心維持
ブラジルの名門フラメンゴが以前からパケタの再獲得に強い関心を示している状況にあり、母国復帰という魅力的な選択肢が浮上。
一方で、マンチェスター・シティも依然としてパケタへの関心を維持しているとの報道もある。2年前に頓挫した移籍話の復活は、パケタにとって最も魅力的なシナリオの一つだろう。ペップ・グアルディオラのもとでプレーする機会は、あらゆる選手にとって憧れの存在だ。
パケタの持つ多様性は、現代サッカーにおいて極めて価値の高い資質だ。中央のアタッキングミッドフィールダーを本職としながら、左サイドハーフや偽9番のポジションもこなせる戦術的柔軟性を備えている。足元の技術に加え、スペースを見つける嗅覚と最後のパスの精度は、どのビッグクラブでも重宝される能力だ。
ウェストハムファンにとって、パケタの売却は複雑な感情を呼び起こすだろう。クラブレコードで獲得した選手を手放すことへの寂しさがある一方で、2年間の法的闘争を乗り越えた選手への温かい気持ちも存在する。
何より、パケタが完全に潔白であることが証明された今、彼の新たな挑戦を応援したいという気持ちが勝るかもしれない。今後数日から数週間で、パケタの未来が明確になるだろう。