2024-25シーズンの開幕を前に、イングランド国内で新たなビッグディールが誕生するかもしれない。プレミアリーグ中位勢のウォルヴァーハンプトン・ワンダラーズ(ウルブス)が、リバプール所属のミッドフィールダー、ハーヴェイ・エリオットの獲得に向けて具体的なアクションを起こしているようだ。
22歳のアタッカーは、リバプールのアカデミーから昇格した若き才能であり、ユルゲン・クロップ政権下で重要なサブメンバーとして定着。しかし、アルネ・スロット監督の体制下では序列が後退しており、来季のプランから外れる可能性も浮上している。
英『GIVEMESPORT』によると、ウルブスはエリオットをマテウス・クーニャの後継者と見なしており、リリース条項が6250万ポンドに設定されているブラジル人FWがマンチェスター・ユナイテッドへと旅立つことを見越し、早期の補強リストにエリオットを加えている。
スポーツ・ディレクターのマット・ホッブスは、エリオットの推進力、パスレンジ、ピッチ上の視野に強い評価を寄せており、即戦力かつ将来的な中心選手として戦術構想に組み込む意向だ。これまでのような短期的補強とは一線を画す、計画的な補強戦略として位置付けられている。
出場機会の減少とリバプールの変化する中盤事情
今季は全コンペティション通じてわずか5回の先発出場にとどまり、プレミアリーグでは1試合のみ。10代の頃からスター選手になると期待された逸材にとって、現実を突きつけられるシーズンだった。
スロット新体制では、ソボスライやカーティス・ジョーンズ、ライアン・フラーフェンベルフといった選手が優先されており、エリオットの立ち位置は厳しい。リバプール側も、クラブとの契約が残り2年となった元フラムMFについて、「適切なオファーがあれば売却も辞さず」との柔軟なスタンスを取っているという。
リバプールはエリオットに5000万ポンド超の移籍金を要求する構えであり、ウルブスが獲得を成立させるには、今後数ヶ月内に主力の売却も視野に入れなければならない。
さらに、ノッティンガム・フォレスト、フルアム、ブライトンなどの国内ライバルに加え、海外クラブも動向を注視しており、獲得レースは一筋縄ではいかない。ジャーナリストのグレアム・ベイリーも、「彼に関心を寄せるクラブは多い。リバプールは高額なオファーを求めるだろう」と警鐘を鳴らす。
生粋のリバプールファンであるエリオットにとって、アンフィールドでの時間は特別なものだった。だが22歳という年齢は、もはや“神童”ではなく、“今、試合に出なければならない選手”という立場を意味する。
ウルブスは、その安定した出場機会と自由なプレースタイルの提供により、エリオットにとって魅力的な移籍先となる可能性が高い。彼のようなホームグロウンの創造的MFを売却することに、感情的な反発を抱くファンも多いだろう。
しかし現実は時に冷酷だ。スロット監督の新戦術の中で、エリオットが構想の中心にいないのならば、買い戻し条項やセルオン条項を含む形での移籍は、クラブ・選手・サポーターにとっても“妥協点”となり得る。
かつて「リバプールの未来を担う」と言われた才能は、今や“出場機会を求めて旅立つべき存在”となっている。今夏の移籍市場において、ハーヴェイ・エリオットの去就は最も注目すべきトピックの一つとなるだろう。