エミレーツ・スタジアムの空気が変わりつつある。ミケル・アルテタ監督が本格的にプレミアリーグ優勝に狙いを定め、大型補強を画策している。アーセナルが狙いを定めるアンソニー・ゴードンとエベレチ・エゼという二枚の切り札は、プレミアリーグの勢力図を根底から覆す可能性を秘めている。
ヴィクトル・ギェケレシュの加入により、既にストライカー問題に一定の解決策を見出したガナーズだが、アルテタの野望はそれだけに留まらない。エゼについては6800万ポンドでの獲得が売却に依存しない形で進められている一方で、ゴードンについては8000万ポンドという巨額の投資が検討されていると、英『Football London』が報じている。
ゴードンが持つ唯一無二の破壊力
ニューカッスルで圧倒的な存在感を示すアンソニー・ゴードンは、プレミアリーグ屈指のドリブラーとして君臨している。左サイドから仕掛ける彼のプレースタイルは、まさにアルテタが求める現代的ウィンガーの理想形。昨シーズンは9ゴール7アシストという数字を記録し、ニューカッスルの5位フィニッシュ貢献した。
ゴードンの根本的な数値とゴール関与の高い生産性、さらに年齢を考慮すると、エゼよりも優れた獲得候補とする専門家の声もある。彼の最大の武器は、狭いスペースでも爆発的な加速を生み出すドリブル突破と、ペナルティエリア内での冷静な判断力にある。
さらに注目すべきは、ゴードンのフィニッシュ能力の向上だ。以前はドリブルで相手を翻弄するものの決定機を逃すケースが目立ったが、昨シーズンは明らかにゴール前での精度が改善されている。この進化こそが、アルテタが彼を最優先ターゲットに据える理由に他ならない。
エゼという天才の多面性
一方のエベレチ・エゼは、クリスタル・パレスで魅せる創造性豊かなプレーで、プレミアリーグ全体から注目を集める存在だ。アーセナルはエゼ獲得に向けて積極的に動いており、十分な資金が確保されている状況にある。彼の最大の特徴は、右足から繰り出される魔法のようなパスワークと、予測不可能なポジショニングにある。
エゼは典型的なウィンガーの枠に収まらない選手だ。右サイドからスタートしても中央に流れ、時にはトップ下のポジションまで降りてゲームメイクに参加する。この流動性こそが、アルテタの戦術システムにおいて重要な要素となる。マルティン・ウーデゴールとの連携により、相手守備陣が対応しきれないコンビネーションを形成する可能性は極めて高い。
昨シーズンのエゼは14ゴール11アシストを記録し、パレスの攻撃を一手に引き受けた。特に注目すべきは、彼のセットプレーでの精度だ。フリーキックとコーナーキックの両方で脅威を与える能力は、アーセナルの得点源として新たな次元を開拓するだろう。
アルテタが描く戦術的革命
この二人の同時獲得が実現した場合、アルテタはかつてないレベルの戦術的選択肢を手に入れることになる。4-3-3システムにおいて、ゴードンが左ウィング、エゼが右ウィングに配置されれば、中央のギェケレシュとともに恐ろしいほどのスピードと技術を兼ね備えたフロントラインが完成する。
さらに興味深いのは、試合状況に応じてポジションを入れ替える柔軟性だ。エゼは左サイドでも十分にプレー可能であり、ゴードンも右サイドでの経験を持つ。この互換性により、相手チームは試合中の戦術変更に対応することが極めて困難になる。
無論、イングランド代表FWブカヨ・サカらとのコンビネーションも忘れてはならない。エミレーツの新時代が、いよいよ本格的に幕を開けようとしている。ゴードンとエゼという二つの才能が、アーセナルの攻撃陣を新たなレベルに引き上げる。
