プレミアリーグの中堅クラブながら、今季終盤に向けて勢いを取り戻したクリスタル・パレスが、来季に向けて攻撃陣の強化を本格化させている。特に注目されているのが、フランス・リーグアンで得点を量産しているストラスブール所属のエマニュエル・エメガだ。
ジャン=フィリップ・マテタの去就が不透明な中、パレスはこのオランダU-21代表FWに白羽の矢を立てた模様で、移籍市場での動きが加速していると、英『Football Insider』が報じた。
オリバー・グラスナー監督の下で躍動を見せたクリスタル・パレスだが、来季も継続してプレッシングと縦に速い攻撃を展開するためには、前線の軸となるストライカーの確保が不可欠となる。現エースのマテタはクラブとの契約延長交渉が続いているものの、複数クラブからの関心が寄せられていることもあり、退団の可能性が完全には否定できない状況だ。
クラブは将来的な代役としてストラスブールで台頭する22歳の長身ストライカー、エマニュエル・エメガに熱視線を送っている。身長195cmのフィジカルモンスターは、今季リーグ・アンで14ゴールを記録。22歳以下の選手としてはフランクフルトのウーゴ・エキティケに次ぐ得点数であり、その得点感覚と空中戦の強さはプレミアリーグでも十分に通用する可能性を感じさせる。
かつてブラックバーンやマンチェスター・ユナイテッドでスカウトとして活躍したミック・ブラウン氏の証言によれば、パレスはすでにエメガの詳細なデータを収集済み。チーム戦術へのフィット感やプレミアリーグへの適応可能性を慎重に見極めたうえで、具体的な交渉へと歩を進めているという。
グラスナー体制では、機動力とポジショニングの柔軟性を併せ持つストライカーが求められており、エメガはその要件を満たす理想的なタイプ。加えて、若くしてフランスで結果を残しているという事実は、近年のパレスが推進する「若手重視」の方針とも合致している。
チェルシーも争奪戦に参戦?──共同オーナー問題が複雑化要因に
ただし、エメガ獲得は簡単なものではない。というのも、彼が所属するストラスブールは、チェルシーと同じく「ブルーコー」グループの資本傘下にあるクラブ。この共同オーナー構造により、チェルシーは必要とあればスムーズにエメガを自軍へ引き入れることが可能とされており、移籍の競争相手として立ちはだかる恐れがある。
特に、チェルシーは今夏に前線の刷新を図る動きを見せており、仮にベンチ層の入れ替えや若手補強を進める場合、エメガのような伸び盛りの選手は理想的なピースとなる。したがって、パレスが本気で獲得に乗り出すのであれば、資金力と競争力を武器とするチェルシーとの争奪戦は避けられない。
さらに、パレスはニューカッスルに所属するMFジョー・ウィロックの獲得にも関心を示しているとされ、チーム全体としての再編に取り組んでいる様子がうかがえる。中盤と前線の両面での補強を図ることにより、グラスナー体制の土台をより強固にする狙いがあると見られている。
果たして、エメガはクリスタル・パレスの新たな点取り屋としてセレース・パークのピッチに立つのか。それとも、チェルシーをはじめとした他クラブのアプローチが彼の去就を左右するのか。