ベルギー代表FWレアンドロ・トロサールを巡る移籍交渉が、プレミアリーグの夏の移籍市場に新たな波紋を投げかけている。『FootballTransfers』の報道によると、ブレントフォードがアーセナルのアタッカーの代理人に接触し、3年契約を提示する意向を示していることが明らかになった。
この大胆な動きは、アーセナルとの契約延長交渉が行き詰まっているタイミングを狙い撃ちした戦略的アプローチであり、プレミアリーグの勢力図を塗り替える可能性を秘めている。
30歳を迎えたトロサールにとって、これはキャリア最後の大型契約となる可能性が高い。アーセナルは30歳以上の選手に対する典型的な方針に従い、1年延長にオプションで追加1年という提案を行ったが、これは即座に拒否されたという経緯がある。
現在の契約は2026年まで続くが、クラブと選手双方が不満を抱えた状況にある中で、ブレントフォードの3年契約提示は極めて魅力的な選択肢となっている。
ヨアネ・ウィサ問題とブレントフォードの緊急補強
ブレントフォードの動きは決して偶然ではない。ヨアネ・ウィサがブレントフォードの売却拒否に激怒し、今夏の移籍を約束されていたと信じて、再び練習や試合への参加を拒否している状況にある。
ニューカッスル・ユナイテッドの2500万ポンドの入札が拒否されたものの、第2回目のオファーが予想されている中で、ブレントフォードは即戦力となるプレミアリーグ経験豊富な選手での穴埋めを急いでいる。
キース・アンドリュース新監督の下、クラブは戦略的な補強に乗り出している。セルティックの前田大然を後釜候補として検討しているとの報道もあるが、トロサールのような即戦力を求める声が高まっているのが現状。
ウィサが怒りと失望を抱えて練習に復帰したものの、状況は依然として不安定であり、ブレントフォードにとって代替選手の確保は喫緊の課題となっている。
アーセナルのジレンマと移籍市場の駆け引き
アルテタ監督はトロサールの経験と多様性を高く評価している一方で、トロサールはアーセナルでの現状に満足しているものの、断るには惜しいほどの好条件が提示されれば移籍を検討する意向をアルテタ監督に以前から伝えている。
トロサールは2年延長にオプションで追加1年、さらに週給を6桁まで引き上げる昇給を求めているとされているが、アーセナル側の慎重な契約方針との間に大きな隔たりがある。
一方で、アーセナルは2030年まで4年間の新契約について先進的な交渉を行っており、全当事者が合意に達することに自信を持っているという相反する情報も存在する。
トロサールの推定移籍価値は1810万ユーロとされているが、ブレントフォードが提示する3年契約は、アーセナルが現在提示を躊躇している長期的な安定をもたらす。
移籍市場の最終週に向け、この三角関係がどのような結末を迎えるかは、両クラブの来シーズン戦略に決定的な影響を与えることになるだろう。