移籍情報の権威ファブリツィオ・ロマーノが放った投稿が、サッカー界に衝撃を与えている。レアル・マドリードのブラジル人ウィンガー、ロドリゴを巡る争奪戦について、移籍のエキスパートが明かした「唯一の道」とは何か。アーセナルとマンチェスター・シティが繰り広げる熾烈な獲得レースの真相が、ついに明らかになった。
「ロドリゴがマドリードとシャビ・アロンソ監督に退団の意思を伝えること、それがアーセナルが契約をまとめる唯一の方法だ。」ロマーノがYouTubeチャンネルで明かしたこの発言は、24歳のブラジル代表ウィンガーの運命を握る決定的な条件を浮き彫りにした。単なる憶測の域を超え、具体的な移籍プロセスの核心に迫る証言だった。
ロマーノの情報網によれば、アーセナルの内部評価は極めて高い。「アーセナルがロドリゴを愛していることに疑いはない。これは経営陣の話であり、ミケル・アルテタ監督の話でもある。」しかし、ここに大きな障壁が立ちはだかっている。レアル・マドリードは「ロドリゴからの何の連絡もない限り、アーセナルに要求額を通知しない。」という強硬な姿勢を崩していないのだ。
「数日以内の決断」が全てを決める
ロマーノが明かした最も重要な情報は、ロドリゴの決断のタイムリミットだった。「ロドリゴは今後数日でレアル・マドリードと再び話し合い、去りたいか残りたいかを決断し、最終価格を決める必要があります。その価格は交渉開始時点で1億ユーロ超になる可能性が高い。」この発言は、移籍劇が最終局面に差し掛かっていることを示している。
興味深いのは、ロドリゴ自身の複雑な心境だ。クラブワールドカップ期間中、彼はアメリカで休暇を過ごしていたが、その間も移籍の憶測は止まなかった。シャビ・アロンソ新監督の下での自身の役割に疑問を抱いているとされる一方で、「彼の周辺にいる人物によれば、彼の希望は残留だが、来季に意味のある役割を果たせる場合のみ」という微妙な状況が浮かび上がる。
レアル・マドリードの内部事情も複雑だ。クラブ関係者の間では、ロドリゴを手放すべきか残留させるべきかで意見が分かれている。エムバペとヴィニシウス・ジュニオールの存在により、ロドリゴは本来の左ウィングではなく右サイドでのプレーを強いられ、クラブワールドカップではベンチを温め続けた。この状況が、彼の心境に大きな影響を与えているのは間違いない。
アーセナルの「内部愛情」vs シティの「世界最高」評価
ロマーノが強調するアーセナルの「内部での愛情」は、クラブ全体でのロドリゴへの評価の高さを物語っている。アルテタ監督は彼を「夢の獲得」として位置づけ、ガブリエル・マルティネッリの後継者、そしてプレミアリーグ制覇への最後のピースとして熱望している。しかし、ロマーノも指摘するように「現時点で、レアル・マドリードは公式なアプローチを受けていない」のが現実だ。
一方、マンチェスター・シティの動きも活発化している。ペップ・グアルディオラ監督はロドリゴの代理人との交渉をすでに開始しており、ジャック・グリーリッシュの4000万ポンドでの売却もあって、新たなウィンガー獲得の必要性を高めている。ロドリゴが昨年シティを「世界最高のチーム」と評したことは、グアルディオラにとって心強い材料となっているだろう。
移籍金については、ロマーノの証言が最も信憑性が高い。「交渉開始時点で1億ユーロ超」という価格設定は、現在の市場価値を大きく上回る金額だが、レアル・マドリードの強気な姿勢を反映している。週給30万ポンド近いという要求と合わせて、この移籍が単なる選手補強を超えた「声明」的な意味を持つことは明らかだ。
ロマーノの分析で最も興味深いのは、「ロドリゴの状況はまだ決まっていない段階」という現状認識だ。移籍の専門家として数々のビッグディールを追跡してきた彼が、これほど慎重な表現を使うのは珍しい。それだけこの移籍劇が複雑で、予測困難な要素を含んでいることの証左でもある。
個人的な見解
この移籍劇で最も注目しているのは、ロマーノが明かした「プレイヤー主導」の移籍プロセスだ。現代フットボールでは、クラブ間の交渉よりも選手本人の意思が重視される傾向が強まっているが、ロドリゴのケースはその典型例と言える。レアル・マドリードという世界最高峰のクラブが、選手からの明確な退団要求なしには価格すら提示しないという姿勢は、選手の意思決定力がいかに強大化しているかを物語っている。
また、ロマーノの情報から読み取れるのは、この移籍劇がプレミアリーグの勢力図に与える影響の大きさだ。アーセナルがロドリゴを獲得できれば、長年追い求めてきたプレミアリーグ制覇に向けた最後のピースが揃う。
逆にシティが彼を獲得すれば、グアルディオラの戦術にさらなる幅をもたらし、昨季の失望を一掃する象徴的な補強となるだろう。ロドリゴ一人の決断が、イングランドサッカー界全体のパワーバランスを左右する可能性を秘めているのである。