クリスタル・パレス、エル・カンヌス争奪戦で本気度証明!レスター拒否も決定的オファー準備中

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アーセナルが描く中盤再構築の青写真…ビラル・エル・カンヌス獲得に向けてアプローチ Crystal Palace

セルハースト・パークで密かに進行する巧妙な移籍戦略が、プレミアリーグ復帰への道筋を照らし始めている。サッカージャーナリストのSacha Tavolieri氏が報じるところによると、クリスタル・パレスはレスター・シティのビラル・エル・カンヌス獲得に向けて2300万ユーロの初回オファーを提示したものの、フォクシーズ側に拒否された。

しかし、この一件で物語が終わることはない。エベレチ・エゼをめぐってアーセナルとトッテナムが激烈な争奪戦を繰り広げている間、オリバー・グラスナー監督率いるイーグルスは水面下で確実な布石を打っていた。

最も注目すべきは、エル・カンヌス自身がパレス移籍を最優先に考えていること。22歳のモロッコ代表ミッドフィールダーは既にパレスとの4年契約に合意しており、セルハースト・パークでの新天地開拓に前向きな姿勢を示している。

これは憶測や噂話ではない。具体的な合意に基づいた、現実的な移籍話だ。一方のレスター・シティも、リリース条項の期限切れにもかかわらず、エル・カンヌスの売却に同意している状況にある。チャンピオンシップから這い上がってきたフォクシーズにとって、この売却益は新シーズンでの戦力整備に欠かせない資金源となる。

エゼ争奪戦の陰で描かれる計算された補強戦略

エゼをめぐる北ロンドン勢の攻防が激化する中、パレスが示している戦略的冷静さは見事だ。パレスは既にレスター・シティにエル・カンヌス獲得へのアプローチを行っており、正式なオファー提示の準備を整えている。アーセナルとトッテナムがエゼの6800万ポンドの移籍金をめぐって駆け引きを続ける間、パレスは次の一手を着実に進めている。

エゼの去就が未確定である以上、パレスとしては代替策を用意するのは当然の動きだが、その選択肢としてエル・カンヌスに白羽の矢を立てたのは興味深い。

ベルギーのジュピラー・プロ・リーグでKRCヘンクの攻撃的ミッドフィールダーとして活躍し、昨夏2100万ポンドでレスターに移籍した経歴を持つエル・カンヌスは、プレミアリーグでの適応力を既に証明済みだ。降格チームの一員とはいえ、3得点5アシストという数字は決して見劣りするものではない。

特筆すべきは、エル・カンヌスが持つ戦術的多様性。180cmの恵まれた体格を活かした空中戦の強さに加え、両足を巧みに使い分けるテクニックは現代サッカーの要求水準を満たしている。中央ミッドフィールダーとしてゲームメイクを担える一方で、より攻撃的なポジションでも機能する柔軟性は、グラスナー監督が志向する流動的な戦術システムに完璧にマッチする。

エル・カンヌスが持つプレミアリーグ適性とパレスへの価値

モロッコ代表での経験も見逃せない要素だ。2022年のワールドカップ・カタール大会でベスト4進出を果たしたチームのメンバーとして、大舞台での経験を積んでいる。2024年パリ五輪では銅メダル獲得に貢献し、ハキム・ツィエクやアクラフ・ハキミといったスター選手と共にプレーした経験は、プレミアリーグという新天地でも必ず活かされる財産だ。

現在のパレスの中盤陣を見渡すと、ジェフリー・シュルップやナウイロ・アハマダといった実力者が控えているものの、エル・カンヌスのような創造性とフィジカルを併せ持つ選手は明らかに不足している。

RBライプツィヒなど他クラブからの関心も報じられているが、エル・カンヌス自身がパレスを最優先に考えている点は決定的なアドバンテージだ。プレミアリーグでの成長余地を考えると、22歳という年齢は理想的なタイミングでもある。グラスナー監督の下で中盤の新たな軸として機能すれば、モロッコ代表でのポジション争いにも大きな影響を与えるはず。

レスター側の事情も交渉を後押しする要因となっている。初回オファーの2300万ユーロを上回る金額での決着は十分に予想され、パレスの本気度次第では交渉が一気に加速する可能性が高い。マルティ・シフエンテス新監督の下での戦力整備を考えると、エル・カンヌスの移籍金は重要な補強資金となる。

個人的な見解

この移籍話について、私はパレスの戦略的思考の深さに感銘を受けている。エゼをめぐる混乱の中で、クラブが冷静に次の選択肢を確保している姿勢は、現代フットボールにおける危機管理の模範例だ。

エゼという貴重な資産を失う可能性が高まる中、将来性豊かなエル・カンヌスへの切り替えは単なる代替策ではない。これは明らかにクラブの長期ビジョンに基づいた戦略的投資である。

さらに興味深いのは、エル・カンヌス自身がパレス移籍を最優先に考えていること。プレミアリーグ復帰を果たしたクラブとはいえ、アーセナルやトッテナムのような大クラブと比較すれば規模は劣る。

それでもパレスを選ぶ理由は、グラスナー監督の下でのプロジェクトに魅力を感じているからに他ならない。FAカップ優勝とヨーロッパリーグ出場権獲得は、クラブの成長軌道を明確に示している。エル・カンヌスにとって、これほど理想的な成長環境は他にない。