アトレティコ・マドリードで苦戦を強いられているコナー・ギャラガーに、母国プレミアリーグからの熱烈なラブコールが届いている。クリスタル・パレス、トッテナム、ニューカッスル・ユナイテッドという三つのクラブが、この万能型ミッドフィールダーを巡って水面下での争奪戦を繰り広げている。
スペイン紙『Fichajes』の報道によると、移籍金は約5000万ユーロという高額な設定となっており、各クラブも同額を支払う意思があると見られ、その本気度が窺い知れる。
ギャラガーは昨夏、チェルシーからアトレティコ・マドリードに4200万ユーロで移籍したが、ディエゴ・シメオネ監督の戦術システムにフィットしきれずにいる。今夏のアレックス・バエナやジョニー・カルドソといった新加入により、レギュラーポジション獲得がさらに困難になった25歳のイングランド代表は、プレミアリーグ復帰を真剣に検討している状況だ。
コナー・ギャラガーという”即戦力”を求める3クラブの思惑
クリスタル・パレスにとって、ギャラガーは忘れることのできない存在だ。2021-22シーズンにチェルシーからのローン移籍で加入した際、セルハースト・パークのファンを完全に虜にした。
パトリック・ヴィエラ監督の下で開花を遂げ、プレミアリーグでの地位を確立するきっかけとなったクラブへの恩返しという感情論も働く。昨季のFAカップ優勝によりカンファレンスリーグ出場権を手にしたイーグルスは、アダム・ワートンとの中盤コンビでさらなる高みを目指している。
一方のトッテナムは、中盤の安定性不足という慢性的な悩みを抱えてきた。トーマス・フランク監督のもとで展開する攻撃的サッカーにおいて、守備面でのバランサー役を担えるギャラガーの価値は計り知れない。
スパーズは数年前からギャラガーへの関心を公言しており、今夏こそ悲願の獲得に踏み切る可能性が高い。ヨーロッパリーグ優勝によりチャンピオンズリーグ出場権も確保しており、選手にとって魅力的なオファーを提示できる立場にある。
ニューカッスル・ユナイテッドは、ブルーノ・ギマランエスやサンドロ・トナーリといった実力派を擁しながらも、選手層の薄さが課題となっている。
エディ・ハウ監督が志向するハイテンポなサッカーにおいて、ギャラガーの運動量と戦術理解度は理想的な補強ポイントとなる。昨季は5位でのシーズン終了によりチャンピオンズリーグ出場権を獲得しており、欧州の舞台でも戦える戦力拡充が急務だ。
5000万ユーロの価格設定が示すアトレティコの本音
アトレティコ・マドリードがギャラガーに設定している移籍金は約5000万ユーロ。昨夏の獲得額を上回る価格設定は、クラブが完全に手放したがっているわけではないことを物語る。しかし最新の報道によると、アレックス・バエナやジョニー・カルドソの加入により、ギャラガーの出場機会は確実に減少する見込み。
25歳というキャリアのピークを迎えつつある年齢で、来年のワールドカップを見据えるギャラガーにとって、出場時間の確保は死活問題となっている。
ギャラガー本人の立場から見れば、それぞれのクラブが異なる魅力を持っている。パレスへの復帰は純粋な感情移入という側面が強く、ファンとの絆や過去の成功体験を重視するならば最有力候補となる。
スパーズは伝統的なビッククラブとしての威光と、ヨーロッパリーグ優勝により手にしたチャンピオンズリーグという最高峰の舞台を約束できる。北ロンドンというロンドン中心部での生活環境も魅力的だろう。
ニューカッスルは新時代のプロジェクトの一員として、クラブとともに頂点を目指すやりがいを提供できる。5位フィニッシュによるチャンピオンズリーグ出場という条件面でもスパーズと同格と言える。
移籍金の支払い能力については、3クラブとも問題なくクリアできる財政力を持つ。ギャラガー自身がキャリアの次なる章として何を重視するかが、最終的な決め手となる。今夏の移籍市場において、このイングランド代表ミッドフィールダーの動向は各方面から熱視線を浴びている。
個人的な見解
ギャラガーにとって最も理想的な移籍先はニューカッスル・ユナイテッドではないかと考えている。エディ・ハウ監督の戦術哲学は、ギャラガーが持つ豊富な運動量と高い戦術理解度を最大限に活かせる環境が整っているからだ。
ギマランエスの創造性、トナーリのテクニック、そしてギャラガーのエネルギーが融合すれば、ニューカッスルの中盤は一気にヨーロッパ最高レベルまで押し上げられる。また、クラブが現在進行形で成長している段階にあることも、ギャラガーのような野心的な選手には魅力的に映るだろう。
感情論を抜きにすれば、クリスタル・パレスへの復帰も魅力的な選択肢だ。ギャラガーにとってパレスは心の故郷のような存在であり、ファンとの絆は他のクラブでは決して得られない特別なものがある。
ただし、野心的な成長性という観点では、チャンピオンズリーグを戦えるニューカッスルやトッテナムに軍配が上がる。最終的には、ギャラガー自身がサッカー選手として何を成し遂げたいかによって答えが決まる。プレミアリーグにとって価値ある戦力の復帰は歓迎すべき動きであり、どのクラブを選択しようとも彼の活躍に期待したい。