マンチェスター・シティのブラジル人守護神エデルソン・モラエスを巡る移籍劇が、夏の移籍市場最終盤に向けて大きな山場を迎えている。ガラタサライが1000万ユーロの正式オファーを提示し、選手本人も新天地への想いを強く抱く中、シティサイドの慎重な姿勢が移籍成立の鍵を握る状況となった。
トルコの巨人ガラタサライは、レジェンドであるフェルナンド・ムスレラの退団を受けて、世界最高峰のゴールキーパー獲得に全力を注いでいる。同クラブはエデルソンを3名の候補者リストの筆頭に位置付け、インテル・ミラノのヤン・ゾマー、ポルトのディオゴ・コスタと併せて検討を進めている。
Florian Plettenberg氏が伝えるところでは、エデルソンとガラタサライの間では個人条件について完全合意に達しており、年俸700万ユーロでの契約準備が整っている状況だ。
🚨🦁 Galatasaray’s current and improved offer for #Ederson still stands at around €10m. However, Manchester City have not accepted it yet. #MCFC are keeping Galatasaray waiting, as they want more. There is still no agreement between the clubs.
— Florian Plettenberg (@Plettigoal) August 17, 2025
Ederson and #Galatasaray are… pic.twitter.com/xLL0epSIdH
エデルソンが求める新たな挑戦への扉
2017年にベンフィカから4000万ユーロでシティに加入したエデルソンは、370試合以上に出場し、6度のプレミアリーグ制覇と1度のチャンピオンズリーグ制覇の立役者となった。しかし31歳を迎えた今、契約が来夏に満了を控える中で、キャリアの新章を求める心境に変化が生じている。
ガラタサライの魅力は報酬面だけではない。2024-25シーズンのトルコ・スュペル・リーグ王者として、今季チャンピオンズリーグ出場権を獲得した同クラブは、エデルソンにとって欧州最高峰の舞台で腕を振るう絶好の機会を提供している。
オカン・ブルク監督は公に彼を最重要候補と位置付けており、さらにはビクター・オシムヘン獲得に成功した実績を背景に、エデルソン獲得でも同じ仲介業者ジョージ・ガルディを起用するなど、戦略的なアプローチを展開している。
シティが描く長期戦略とドンナルンマ構想
一方、マンチェスター・シティは1300万から1500万ポンドの移籍金を要求し、ガラタサライのオファーとの間に依然として隔たりが存在している。この価格設定には、資金確保以上の戦略的意図が込められている。
複数の報道機関が指摘するように、シティはパリ・サンジェルマンのジャンルイジ・ドンナルンマ獲得を視野に入れた動きを見せている。
イタリア代表ゴールキーパーのドンナルンマは、PSGでの立場に満足しておらず、プレミアリーグ挑戦に強い関心を示している。シティとしては、エデルソンの移籍金でドンナルンマ獲得資金を確保し、ゴールキーパーポジションの世代交代を図る狙いがある。
この夏、シティは既にジェームス・トラフォードをバーンリーから3100万ポンドで獲得し、英国人ゴールキーパーとしては史上最高額の移籍金を支払った。これらの動きは、ゴールキーパー陣の大幅な再編成を示唆している。
ドンナルンマ獲得が実現すれば、シティは今後10年以上にわたってゴールキーパーポジションを安定させることができる。26歳のドンナルンマはエデルソンより5歳若く、ペップ・グアルディオラ監督が求める足元の技術にも十分対応できる能力を持っている。
移籍窓口終了まで残り2週間の攻防
移籍窓口の締切が迫る中、三者間の思惑が複雑に絡み合っている。ガラタサライは9月2日のチャンピオンズリーグ選手登録期限を意識し、追加オファーの検討を進めているとされる。一方、シティは後任候補の獲得を確実にしてからエデルソンを手放したい考えで、慎重な姿勢を崩していない。
エデルソン本人は既に移籍への強い意志を固めており、メディカルチェックも即座に受ける準備を整えている。しかし、最終的な決断はクラブ間の金銭面での合意にかかっている。
個人的な見解
今回の件はマンチェスター・シティの一時代の終焉を映してる。ケヴィン・デ・ブライネやカイル・ウォーカーも昨シーズン限りで退団しており、これまでシティを支えた選手たちの旅立ちが目立っている。
プレミアリーグでも実績十分なGKなだけに、シティの1500万ユーロ程度の要求は決して法外ではないが、ガラタサライの財政状況を考慮すると大きなハードルとなっている。
個人的には、エデルソンがトルコリーグでの新たな挑戦を求めるのは極めて自然な流れであり、彼の能力であればどのリーグでも十分に通用するはず。
チャンピオンズリーグという舞台での活躍も大いに期待できる。ガラタサライがオシムヘン獲得で見せた本気度を考えれば、エデルソン獲得でも最後の一押しがあるかもしれない。
しかし、シティがドンナルンマ獲得を確定させてからでないとエデルソンを手放さない姿勢を崩さない可能性も高い。今後数日間の展開が、この三角関係の行方を決定づけることになるだろう。移籍市場最終盤の駆け引きが、ヨーロッパサッカー界の新たな勢力図を描くことになる。