今夏の移籍市場で注目を集めている若手タレントのひとりが、トッテナムに所属する17歳の攻撃的MFマイキー・ムーアだ。伊『La Gazzetta dello Sport』の報道によれば、セリエAの名門ユベントスがこの逸材の獲得に向けて水面下で動きを見せており、すでにスカウティング活動を本格化させているという。
プレミアリーグの名門クラブが長年にわたって磨き上げてきた下部組織から頭角を現したムーアは、若干17歳にしてヨーロッパリーグのタイトルを獲得するなど、早くも欧州の舞台で爪痕を残している。
その卓越したボールコントロールとドリブルの切れ味は同年代の中でも抜きん出ており、視野の広さと的確な判断力も兼ね備える。とりわけアタッキングサードでのプレーにおいては、得点とアシストの両面で違いを生み出せる貴重な存在。
イングランド代表の育成年代でも着実にステップアップしており、その勢いに目をつけたユベントスが関心を寄せるのも無理はない。トッテナムが長期的なプランの中心に据えている生え抜き選手であることを踏まえれば、交渉は簡単ではないが、セリエA王者の意志は固いようだ。
ユベントスは過去数シーズン、経験豊富なベテランに依存する構造からの脱却を図ってきた。近年ではサミュエル・イリング=ジュニオールやケナン・ユルディズといった10代の若手選手がトップチームに定着するなど、確かな変化の兆しが見えている。
ムーアの獲得に向けた動きも、クラブが進める若返り戦略の一環と見られている。報道によれば、ユベントスはASモナコに所属するベン・セギールにも関心を示しており、将来の中盤を担うタレントを複数リストアップしている模様だ。これらの動きは、単なる即戦力の補強ではなく、3年後、5年後を見据えた長期的ビジョンの表れといえる。
一方で、トッテナムはクラブの育成方針に誇りを持っており、ムーアのような将来有望な生え抜きを他クラブに譲ることには慎重な姿勢を貫いている。今夏の段階で彼を売却する可能性は低いとされており、ユベントスにとっては難航が予想される交渉になるだろう。
今後の動向次第では、イングランド国内のクラブもこの争奪戦に参戦してくる可能性がある。マンチェスター・ユナイテッド、リバプール、チェルシー、アーセナル、マンチェスター・シティといったプレミア勢は、常に若手の逸材に目を光らせており、ユベントスの動きがさらなる火種となるかもしれない。
現時点ではトッテナム残留が濃厚とされているものの、移籍市場は常に予想外の展開を見せる。ユベントスがどのような条件を提示し、トッテナムがどう応じるかは、今後の交渉次第となりそうだ。