ニコラス・ジャクソンに6000万ポンドという値札を設定し、売却の準備を進めている。英『The Mirror』の報道によると、このセネガル代表ストライカーの放出により得られる資金を元手に、RBライプツィヒのシャビ・シモンズやマンチェスター・ユナイテッドのアレハンドロ・ガルナチョ獲得に向けた本格的な動きを見せている。
エンツォ・マレスカ監督の下で新シーズンを迎えたチェルシーだが、既にジョアン・ペドロやリアム・デラップといった攻撃陣の新戦力を獲得済み。この状況下でジャクソンのポジションは微妙なものとなっており、定期的な出場機会を求める24歳のストライカーにとって、新天地での再出発は魅力的な選択肢となっている。
2年前にビジャレアルから3000万ポンドで獲得されたジャクソンは、65試合で24ゴールという成績を残している。決して悪くない数字だが、ペドロとデラップの加入により、マレスカ監督のローテーション計画で後塵を拝する可能性が高まっている。
レギュラーの座を狙うジャクソンに対しては、ニューカスル、アストン・ヴィラ、マンチェスター・ユナイテッド、アーセナルといったプレミアリーグの強豪クラブが関心を示しているが、現時点では具体的なオファーには至っていない。
ジャクソン放出による資金調達とクラブの思惑
チェルシーにとってジャクソンの売却は、戦力整理は避けられない。6000万ポンドという売却益は、新たな補強資金として即座に活用される計画となっている。クラブの財政フェアプレー規則への対応という側面もあり、買い売りによる資金循環はチェルシーの経営戦略の柱となっている。
ジャクソンのエージェントは現在、クライアントに最適なクラブを模索している段階だが、チェルシー側も売却を急いではいない。ただし、選手本人が移籍を強く希望すれば、クラブとしても柔軟に対応する方針を示している。特にニューカスルとアストン・ヴィラは実現可能性の高い移籍先として挙げられており、9月1日の移籍期限前に動きが活発化することが予想される。
チェルシーは今夏も既に大型補強を敢行している。ジェイミー・ギッテンス、ジョアン・ペドロ、ヨレル・ハト、リアム・デラップに加え、ブラジルの若手エステバン・ウィリアンの獲得も完了済み。それでもなお補強を続ける姿勢は、マレスカ監督の要求水準の高さと、クラブの野心的な計画を物語っている。
シモンズとガルナチョ獲得への道筋
チェルシーが最優先ターゲットに据えているのがシャビ・シモンズだ。RBライプツィヒは6000万ポンドの評価額を設定しており、チェルシーとの交渉は佳境を迎えている。
オランダ代表の攻撃的ミッドフィールダーは既にチェルシー移籍に心を決めており、個人条件についても合意に達している状況だ。最新情報では、シャビ・シモンズは自身のインスタグラムからライプツィヒの情報を削除し、移籍への強い意志を示している。
一方、アレハンドロ・ガルナチョの獲得は一筋縄ではいかない状況。マンチェスター・ユナイテッドは4000万ポンド以上の移籍金を要求しているが、チェルシーの評価額は3000万ポンド程度に留まっている。ただし、ルベン・アモリム監督の構想外とされるアルゼンチン代表ウインガーにとって、チェルシー移籍は魅力的な選択肢であることは間違いない。
最新の報告では、ガルナチョはチェルシーとの個人条件で既に完全合意に達しており、チェルシー以外への移籍を完全に拒否している状況だ。この強固な意志は、交渉におけるチェルシー側の大きなアドバンテージとなっている。
マレスカ監督はレヴィ・コルウィルの負傷により、新たなディフェンダーの必要性を明確に示している。しかし、チェルシーの伝統的な補強パターンを考えると、攻撃陣への投資が優先される可能性が高い。クリストファー・エンクンクやラヒーム・スターリングといった既存選手の放出も検討されており、チーム全体の大幅な入れ替えが進行中。
個人的な見解
チェルシーのこの戦略は短期的には効果的だが、長期的な視点では疑問符が付く。ジャクソンのような若手有望株を次々と手放すことで、チーム内の結束や文化の醸成に悪影響を及ぼす可能性がある。
選手たちは常に売却の可能性を意識せざるを得ず、クラブへの帰属意識を育むことが困難になるのではないだろうか。
また、マレスカ監督にとっても、このような頻繁な選手の入れ替えは戦術的な安定性を築く上で大きな障害となる。ジャクソンは確かに完璧な選手ではないが、彼の持つ身体能力とゴール嗅覚は、適切な指導の下で更なる飛躍を遂げる可能性を秘めている。
6000万ポンドという売却益は魅力的だが、果たしてそれがクラブの長期的な成功に繋がるかは慎重に検証する必要があるだろう。現代サッカーにおいて、短期的な成果を追求するあまり、選手の成長過程を軽視する傾向が強まっているが、チェルシーもその例外ではないように感じられる。
さらに言えば、ピッチに上での素行にも問題を抱えるジャクソンに6000万ポンドという価値があるかは否定的な意見も少なくない。さらなる大幅な値下げがあれば、チェルシーを飛び出し、新天地に向かうことになる可能性もある。