エベレチ・エゼ移籍交渉が佳境!スパーズとパレス、数日中の合意目指す

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リヴァプールが再び動く可能性、エベレチ・エゼを巡ってアーセナルと激突か? Crystal Palace

チェルシー戦のピッチで涙を流したエベレチ・エゼの姿が、すべてを物語っていた。84分に交代で下がった瞬間、ベンチに座り込んだイングランド代表の顔には、5年間過ごしたクリスタル・パレスへの想いと、新天地への期待が複雑に入り混じっていた。

英『Daily Mail』の報道によると、エゼのスパーズ移籍は今後2〜3日中に合意される見込みだという。移籍金は最大5500万ポンド(アドオン込み)で交渉が進んでおり、実現すればスパーズのクラブ史上最高額移籍となる可能性が高い。

だが、この移籍劇にはまだ一波乱も二波乱もありそうだ。パレスのオリヴァー・ グラスナー監督は、「エゼは木曜日のヨーロッパカンファレンスリーグ・プレーオフ戦に先発する」と明言している。これは代替選手の確保なくして、主力を手放すつもりはないという意思表示に他ならない。

エゼ移籍を後押しするスパーズの緊急事態

トーマス・フランク新監督率いるトッテナムにとって、エゼの獲得は戦力補強を超えた緊急事態への対応だ。ジェームズ・マディソンがプレシーズンでACLを断裂し、シーズンの大部分を欠場する見込みとなったからだ。さらに、デヤン・クルセフスキも膝の問題を抱えており、創造性豊かな攻撃陣に深刻な穴が開いている。

ここでエゼの真価が光る。昨シーズンのプレミアリーグで14ゴール11アシストを記録した27歳は、セットプレーでも抜群の精度を誇る。ハリー・ケインとソン・フンミンというロングレンジシュートの名手を失ったスパーズにとって、エゼのような遠距離砲は必要不可欠な戦力。

フランク監督の戦術的柔軟性を考えれば、エゼは左ウィング、トップ下、さらには偽9番のポジションまでこなせる多様性も魅力的だ。

マンチェスター・シティ相手のFAカップ決勝で決勝ゴールを挙げ、コミュニティシールドでもリヴァプール相手にPK戦を制した経験は、チャンピオンズリーグという大舞台でも生きるはず。

フランク監督が求める「今すぐ結果を出せる選手」として、これほど適任な人材は見当たらない。各メディアの報道によると、エゼ自身もスパーズ移籍に100%コミットしており、正式なゴーサインを待って健康診断を受ける準備を整えているという。

パレス側の駆け引きとアーセナルの誤算

一方、パレス側の状況はより複雑だ。ラル・エル・カンヌスとレスター・シティとの間で約3500万ユーロの移籍交渉を進めているものの、サウサンプトンのタイラー・ディブリングやクラブ・ブルージュのクリストス・ツォリスへの関心も報じられており、選択肢は複数ある。だが、エゼほどの決定力とクリエイティビティを持つ選手の代替を見つけるのは容易ではない。

QPRには売却利益の15%が支払われるため、パレスとしても最大限の利益確保を狙いたいところ。5年前に約1900万ポンドで獲得した投資が、3倍以上のリターンを生むことになる。グラスナー監督は「代替選手を確保するまではエゼを手放さない」という姿勢を貫いており、移籍ウィンドウ終了まで残り10日という時間的制約の中での駆け引きが続いている。

興味深いのは、アーセナルが当初は移籍レースをリードしていた点だ。エゼ自身がアーセナルファンだったこともあり、エミレーツ・スタジアムが第一希望とも報じられていた。

しかし、レアンドロ・トロサールらの放出が進まず、資金調達に苦戦している間に、スパーズが主導権を握った形だ。エゼはチャンピオンズリーグでプレーしたいという希望をパレスに伝えたため、今季チャンピオンズリーグに出場するスパーズの方が魅力的に映ったのかもしれない。

個人的な見解

スパーズにとってエゼ獲得は必須事項だが、パレス側も代替選手の確保という条件を譲らない。8月31日の移籍ウィンドウ終了まで残り10日という状況で、どちらが先に折れるかの心理戦の様相を呈している。

特筆すべきは、リリース条項の期限切れがパレスにもたらした交渉上の優位性だ。当初の6800万ポンドという条項があれば、スパーズは自動的に発動できた。しかし、今やパレスは5500万ポンドというリリース条項よりも安価での獲得になりそうだが、交渉の余地が出てしまった。

エゼ自身の100%コミット発言も注目に値する。かつてなら「どちらのクラブでも幸せ」といった曖昧な発言で逃げを打つ選手が多かったが、現代の選手はより明確に意思表示する傾向にある。これは選手の立場が強くなった証拠でもあり、クラブ側はより迅速な意思決定を迫られている。