ベルギー代表ミッドフィルダーのアマドゥ・オナナが、再びサウジアラビアのビッグクラブからの熱いラブコールを受けている。
移籍情報に精通するジャーナリストのベン・ジェイコブス氏が明かしたところによると、アル・アハリがアストン・ヴィラの中盤の要であるオナナを移籍ターゲットリストに追加したという。ただし、この大型移籍の実現には相当な障壁が立ちはだかっているのも事実だ。
Al-Ahli have added Aston Villa’s Amadou Onana to their list of midfield targets.
— Ben Jacobs (@JacobsBen) August 21, 2025
Not an easy deal to get done. No approach to Aston Villa yet.🇧🇪 pic.twitter.com/gAuTFKX9Dm
昨夏にエヴァートンから5000万ポンドという破格の移籍金でヴィラパークに降り立ったオナナは、ウナイ・エメリ監督の戦術システムに完璧にフィット。プレミアリーグ開幕戦のニューカッスル戦では90分間フル出場を果たし、チームの心臓部として機能している現実が、ヴィラ首脳陣のこの23歳への絶大な信頼を物語っている。
オナナの市場価値と移籍実現の可能性
これまでにヴィラでの出場試合数は35試合に達し、5ゴールをマークしているオナナだが、その真価は統計の数字だけでは測れない。188センチの恵まれた体格から放たれるヘディング精度、そして危険を察知する嗅覚でチームの守備ラインを統率する姿は、プレミアリーグでも屈指の完成度を誇る。
注目すべきは、アル・アハリがまだアストン・ヴィラに対して正式な交渉を開始していない点。これまでサウジプロリーグの資金力は、リヤド・マフレズやイヴァン・トニーといったワールドクラスの選手たちを次々と手中に収めてきたが、オナナのケースでは事情が複雑に絡み合っている。
その背景には、アストン・ヴィラの台所事情の劇的な好転がある。ジェイコブ・ラムジーをニューカッスルに4300万ポンドで送り出すことで、プロフィット・アンド・サステナビリティの重荷から解放され、主力選手を手放す切迫した事情が消失した影響は計り知れない。
エメリ監督の青写真におけるオナナの存在価値
ウナイ・エメリ監督にとって、オナナは戦術盤上の不可欠なピースとなっている。昨シーズンのチャンピオンズリーグ出場権獲得の立役者として、彼のボール奪取スキルと攻撃の起点となるパス精度は、ヴィラの躍進を支える原動力そのものだった。ウォロフ語、フランス語、オランダ語、ドイツ語、英語の5言語を自在に操るこの知的な戦士は、ピッチ上でのリーダーシップでもチームメイトたちを牽引している。
サウジアラビアからのオファーは今回で2度目となる。以前にはアル・ヒラルからも熱烈なアプローチがあったものの、今回のアル・アハリの動きはより戦略的な匂いを漂わせている。しかし、オナナのヴィラとの契約は残り4年という長期にわたっており、クラブ側の交渉における立場は盤石と言っても過言ではない。
個人的な見解
サウジプロリーグの潤沢な資金は確かに魅力的だが、オナナほどのタレントが人生の黄金期にヨーロッパの最高峰を離れる選択をするかは疑問が残る。彼はまだ24歳の若さであり、プレミアリーグやチャンピオンズリーグというステージでさらなる高みを目指せる立場にある。
アストン・ヴィラの視点から見れば、オナナの放出は一時的な財政改善をもたらすかもしれないが、競争力の根幹を揺るがすリスクを孕んでいる。
エメリ監督が描くヨーロッパでの継続的な躍進には、オナナという中核戦力の存在が欠かせない。仮にこの移籍が成立すれば、ヴィラは同レベル以上の実力者を新たに発掘するという、想像を絶する困難に立ち向かわねばならないだろう。