マンチェスター・ユナイテッドDFリサンドロ・マルティネスに迫るカンプ・ノウからの誘い

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マンチェスター・ユナイテッドDFリサンドロ・マルティネスに迫るカンプ・ノウからの誘い Manchester United

アルゼンチン代表のリサンドロ・マルティネスが、移籍市場の話題をさらっている。マンチェスター・ユナイテッドで年俸12万ポンドを受け取るこの左利きセンターバックは、ハンジ・フリック監督率いるバルセロナの補強リストに名を連ねていると、スペイン紙『Fichajes』が報じた。

前十字じん帯損傷からの復帰を目指す中でも、そのビルドアップ能力と闘志は高く評価され続けている。フリックが構想する守備の再構築において、後方から試合を支配できる存在は不可欠であり、マルティネスはその条件を満たす数少ない選手。

バルセロナの第一希望はインテルのアレッサンドロ・バストーニだが、財務的な制約や契約状況を踏まえると、マルティネスの方が現実的な選択肢と見られている。

今夏も複数クラブが関心を示したが、本人はオールド・トラフォード残留を選んだ。しかし、来夏の移籍市場では状況が変化する可能性が高い。

左利きセンターバックがもたらす戦術的優位性

フリックの戦術哲学は、後方からの正確かつ縦への速い展開を軸にしている。特にカンプ・ノウでは、相手を押し込みながらもカウンターの脅威を抑えるため、センターバックには高度な戦術理解と足元の技術が求められる。マルティネスはアヤックス時代からその資質を磨き、ユナイテッド加入後も高いパス成功率と前進パスの本数でプレミアリーグ上位に位置してきた。

左利きであることは、ビルドアップの角度とテンポを変える上で大きな武器。右利きの選手が左CBに入る場合、どうしても内側へのパスや後方への戻しが増えるが、マルティネスは外側への展開や縦パスを自然なフォームで通せる。その結果、ウイングやインサイドハーフが高い位置でボールを受けやすくなり、攻撃の厚みが増す。

守備面でも、彼は読みの鋭さとタイミングの良いインターセプトで相手の攻撃を断ち切る。身長はセンターバックとしては高くないが、空中戦勝率は安定しており、ポジショニングと跳躍力で不利を補っている。フリックがこのタイプを好むのは、バイエルン時代にダヴィド・アラバを重用した経緯からも理解できる。

ユナイテッドの戦力構成と移籍市場の駆け引き

ルベン・アモリム監督の下で、マルティネスは3バックの左でプレーし、ビルドアップの起点として機能してきた。しかし、度重なる長期離脱はクラブにとって懸念材料となる。ユナイテッドはレニー・ヨロやエイデン・ヘブンといった若手有望株を抱えており、センターバックの層は比較的厚い。もしバルセロナから適正なオファーが届けば、放出を検討する可能性はある。

移籍市場では、選手の価値は能力だけでなく、契約状況やクラブの補強計画、財務状況によっても左右される。マルティネスは2026年夏まで契約を残しており、ユナイテッドは売却する場合でも一定の移籍金を確保できる立場にある。一方、バルセロナは財務的制約の中で戦力を整える必要があり、コストパフォーマンスの高い補強を模索している。

この構図は、来夏の移籍市場において駆け引きの舞台となるだろう。ユナイテッドがマルティネスを手放す場合、その穴をどう埋めるのか。そしてバルセロナが彼を獲得できなかった場合、代替案は誰になるのか。両クラブの戦略が交錯する中で、選手本人の意思もまた重要な要素となる。

フリック体制のバルセロナにおける役割

フリックは高い位置からのプレッシングと素早い攻守転換を重視する。そのため、センターバックには広い守備範囲とビルドアップ能力が求められる。マルティネスは、相手の第一プレッシャーを外すためのドリブルや、縦に刺すパスで局面を打開できる数少ない選手だ。

また、バルセロナの現有戦力を見れば、ロナルド・アラウホやジュール・クンデ、アンドレアス・クリステンセンといった右利きのCBが主力を占めており、左利きの純粋なセンターバックは不足している。マルティネスが加われば、守備ラインのバランスは大きく改善されるだろう。さらに、彼の闘志とリーダーシップは若手選手への好影響も期待できる。

最大の障壁はバルセロナの財務状況となる。ラ・リーガのサラリーキャップ規制により、高額な移籍金と年俸を同時に負担するのは容易ではない。ユナイテッドが放出に応じるとしても、3000万〜4000万ユーロ規模のオファーが必要と見られる。バルセロナがこの金額を捻出するには、他選手の売却や給与削減が不可欠。

一方で、マルティネス本人が新たな挑戦を望む場合、交渉は加速する可能性がある。彼はアヤックス時代からポゼッション志向のサッカーに適応しており、ラ・リーガのスタイルにもフィットするだろう。

個人的な見解

リサンドロ・マルティネスは、現代サッカーにおける左利きセンターバックの価値を象徴する存在だ。

彼のパスレンジと守備の読みは、ポジションを埋めるだけでなく、チーム全体の攻撃テンポを変える力を持っている。バルセロナが彼を欲しがるのは当然であり、フリックの戦術においても即戦力としてフィットするだろう。

ただし、ユナイテッドにとっても彼は特別な存在である。負傷歴は確かにリスクだが、フィットした時の影響力は計り知れない。

もし来夏に移籍が現実味を帯びるなら、それはクラブの戦術的方向性を大きく左右する決断になる。個人的には、彼がもう一度プレミアリーグでフルシーズン戦い抜く姿を見たい。その上で、彼がどの舞台でキャリアを続けるのかを見届けたい。