フェデリコ・バルベルデはレアル・マドリードの中盤において欠かせない存在であり続けている。27歳となったウルグアイ代表MFは、2024-25シーズンからトニ・クロースの後継として背番号8を背負い、クラブの未来を象徴する選手となった。2023年11月に2029年まで契約を延長しており、クラブの信頼は揺るぎない。
今季もすでにラ・リーガで6試合に出場し、3アシストを記録。直近の9月24日のレバンテ戦でも71分間プレーし、アシストをマークしている。そのパフォーマンスは数字以上にチームのリズムを支えており、攻守の切り替え、スペースの管理、そして試合のテンポを操る力は、他の選手では代替できない。
バルベルデの特徴は、万能性という言葉では片付けられない。中盤のインサイドハーフとして試合を支配する一方で、必要とあれば右サイドバックやウイングとしても機能する。
2022-23シーズンにはキャリア初の二桁得点を記録し、攻撃面での決定力も証明済みだ。さらに、2023-24シーズンのチャンピオンズリーグ準々決勝マンチェスター・シティ戦で決めた同点ゴールは大会ベストゴールに選出され、勝負強さを世界に示した。
こうした背景を踏まえれば、マンチェスター・ユナイテッドが彼を獲得する可能性が極めて低いのは明白だ。英『TEAMtalk』が報じたように、レアル・マドリードは彼を「非売品」として扱っており、クラブの中核を担う選手を手放す理由は存在しない。
マンチェスター・ユナイテッドが求める理想像と現実の隔たり
マンチェスター・ユナイテッドにとって、バルベルデはまさに理想的な補強ターゲットだ。ルベン・アモリム監督の下で再建を進めるチームは、依然として中盤の強度不足に悩まされている。バルベルデが加われば、ボール奪取から攻撃の起点までを一人で担えるため、チームの質は一段階引き上げられるだろう。
しかし、現実は冷酷。ユナイテッドは今季こそチャンピオンズリーグどころかヨーロッパ大会に出場できておらず、名門クラブ復活とはほど遠い。プレミアリーグでも安定した上位争いに戻れておらず、レアル・マドリードという世界最高峰の舞台で主力を張るバルベルデにとって、現時点でユナイテッドへの移籍は「挑戦」ではなく「後退」と映る可能性が高い。
さらに、移籍市場の現実的な側面も無視できない。バルベルデの契約は2029年まで残っており、違約金は天文学的な額に設定されている。ユナイテッドが仮に巨額のオファーを提示したとしても、レアルが応じる可能性はほぼゼロに等しい。選手本人もマドリードでの地位に満足しており、移籍を望む兆候は一切見られない。
バルベルデが背負う「象徴」としての役割
クロースとモドリッチという黄金期を支えた二人が去った後、レアル・マドリードは新たなリーダーを必要としていた。その役割を担うのが、背番号8を受け継いだバルベルデ。彼は若手のカマヴィンガやチュアメニ、そしてジュード・ベリンガムといった新世代をつなぐ「橋渡し役」として機能している。
また、彼のプレースタイルはクラブの哲学そのものを体現している。攻守に走り続ける献身性、勝負どころでの冷静さ、そして観客を沸かせるダイナミズム。これらは、サンティアゴ・ベルナベウに集うファンが求める「レアルらしさ」を凝縮したものだ。
個人的な見解
フェデリコ・バルベルデの移籍話は、毎年のようにプレミアリーグのクラブと結びつけられる。
しかし、2025年9月現在の状況を冷静に見れば、その可能性は限りなくゼロに近い。万能型MFではなく、レアル・マドリードの未来を背負う「象徴」であり、クラブの哲学を体現する存在だ。
マンチェスター・ユナイテッドにとって、バルベルデのような選手が必要なのは間違いない。
しかし、現実的に考えれば、彼を追い続けるよりも「次のバルベルデ」を発掘・育成する方が近道だろう。
ユナイテッドが再び欧州の頂点を目指すのであれば、夢のような補強話に頼るのではなく、クラブ全体の再構築に注力すべき。
バルベルデはマドリードに残り続けるだろうし、その姿は「移籍市場では買えない価値」を象徴している。
彼が背番号8を背負って走り続ける限り、レアル・マドリードは欧州の頂点を狙い続けるはずだ。
そして、ユナイテッドが本当に彼のような選手を欲するならば、まずは自らのクラブを再び「選ばれる舞台」に戻すことが先決である。