ルベン・ネヴェスの名前が、再びプレミアリーグの移籍市場を騒がせている。ニューカッスル・ユナイテッドがこのポルトガル代表MFの獲得に本腰を入れ始めたと、英『TBR Football』が報じている。
彼が所属するアル・ヒラルとの契約は残り1年。本人は「イングランドでやり残したことがある」と語っており、プレミアリーグ復帰への意欲は強い。
ニューカッスルは今夏、アレクサンデル・イサクをリヴァプールへ英国史上最高額の1億2500万ポンドで放出し、総額2億5000万ポンド以上を補強に投じた。アンソニー・エランガ、ジェイコブ・ラムジー、マリック・ティアウらを獲得し、戦力の厚みは増したものの、中盤におけるスタメン組への偏重は喫緊の課題となっている。
サウジPIFの“裏ルート”とネヴェスの移籍可能性
ネヴェスの移籍が現実味を帯びる最大の理由は、ニューカッスルとアル・ヒラルがともにサウジアラビアの公共投資基金(PIF)の傘下にあることだ。この“PIFルート”は、通常の移籍交渉とは異なる柔軟性を持ち、クラブ間の合意形成がスムーズに進む可能性が高い。
実際、2023年夏にもニューカッスルはネヴェス獲得に動いていたが、交渉は最終段階で頓挫。しかし、クラブはその後もネヴェスの状況を継続的にモニタリングしており、今冬の再アプローチに向けて準備を進めているという。
アル・ヒラル側も、契約満了による移籍金なしでの退団を避けたい意向を持っており、今後数ヶ月で契約延長がまとまらなければ、1月の放出に踏み切る可能性は高まる。ネヴェス自身は、サウジでの高額報酬に満足しており、次の移籍では金銭面よりもプロジェクトの魅力を重視するとされている。
プレースタイルと戦術的フィット:ギマランイスとの共演は可能か?
ネヴェスの魅力は、単なる守備的MFという枠に収まらない多様性にある。ウルヴス時代には、プレミアリーグでの平均パス成功率88%、ロングレンジからのシュート精度、そして試合のテンポを操る司令塔としての能力を発揮してきた。
ニューカッスルの現中盤は、ブルーノ・ギマランイスを中心に構成されているが、彼の守備負担は増す一方で、攻撃への関与が制限されている。ネヴェスが加われば、ギマランイスとのダブルボランチが可能となり、よりバランスの取れた中盤構成が実現する。
さらに、ネヴェスはキャプテンシーにも優れ、精神的支柱となる可能性もある。彼の冷静な判断力と経験値は、チャンピオンズリーグという舞台でも大きな武器となるだろう。
戦術的には、エディ・ハウ監督が志向する4-3-3の中盤において、ネヴェスはアンカーとしても、インサイドハーフとしても機能可能。ギマランイスとの役割分担が明確になれば、ボール保持時の安定感と、カウンター時の守備強度が格段に向上する。
ネヴェス獲得には、ニューカッスル以外にも複数クラブが関心を示している。マンチェスター・ユナイテッドとトッテナム・ホットスパーは、いずれも中盤の補強を検討しており、ネヴェスのプレミア復帰に向けて動く可能性がある。
しかし、ニューカッスルには“PIFルート”という明確なアドバンテージがある。加えて、ネヴェスが求める「プロジェクトの魅力」という観点でも、ニューカッスルはチャンピオンズリーグ出場、若手中心の成長路線、そして熱狂的なファンベースという強みを持つ。
仮に1月の移籍が実現すれば、ネヴェスは即戦力として中盤に組み込まれ、トナーリ不在の穴を埋めるだけでなく、チーム全体のクオリティを底上げする存在となるだろう。
サウジからの帰還は“第二章”の始まりか
ネヴェスがサウジアラビアへ渡ったのは、キャリアの終盤ではなく、まだ26歳という脂の乗った時期だった。その選択は、金銭的な成功をもたらした一方で、競技レベルの低下という批判も浴びた。だが、彼自身は「サウジでの経験は自分を成長させた」と語っており、プレミア復帰を“第二章”として位置づけている。
ニューカッスルという舞台は、彼にとって理想的な再出発の場となる可能性がある。クラブは野心的なプロジェクトを進めており、ネヴェスのような経験豊富な選手が加わることで、若手の成長にも好影響を与えるだろう。
個人的な見解
ルベン・ネヴェスのニューカッスル移籍は、クラブの未来を左右する重要な一手になると感じている。
即戦力かつ戦術的柔軟性を持つネヴェスは、理想的な解決策だ。彼の加入によって、ギマランイスの攻撃参加が増え、チーム全体の流動性が高まることは間違いない。
また、ネヴェス自身が「プロジェクトの魅力」を重視している点も、ニューカッスルにとって追い風だ。
サウジでの高額報酬を経験した彼が、次に求めるのは“勝利の手応え”と“情熱のある舞台”だろう。
セント・ジェームズ・パークの熱狂、そしてエディ・ハウの明確なビジョンは、彼の心を動かすに十分な要素だ。この冬、ネヴェスが黒白のユニフォームに袖を通す瞬間を、心から待ち望んでいる。
