リヴァプールの守備の要であるイブラヒマ・コナテの去就が、クラブとファンの最大の関心事となっている。
英『TEAMtalk』によれば、クラブは2030年までの長期契約を提示したが、コナテはこれを拒否し、レアル・マドリードへの移籍を希望しているようだ。契約は2026年夏まで残っているが、来年1月からは自由交渉が可能となるため、リヴァプールは今季中に売却するか、来夏にフリーで失うかという厳しい選択を迫られている。
レアル・マドリードはすでにトレント・アレクサンダー=アーノルドをフリーで獲得しており、2年連続でコナテを引き抜く可能性が高まっている。
スペイン紙『Marca』によれば、コナテはすでに3度の契約延長オファーを断っており、代理人を通じてレアルと接触しているという。クラブは売却額を5000万ユーロ前後に設定しているが、レアルは来夏のフリー獲得を優先しており、交渉は膠着している。
コナテは昨季、アルネ・スロット監督の下でリーグ戦31試合に先発出場し、フィルジル・ファン・ダイクと共に鉄壁の守備を築き、プレミアリーグ優勝に大きく貢献した。彼の退団はリヴァプールにとって戦術的にも精神的にも大打撃となる。
プレミアリーグ内外で激化する争奪戦とリヴァプールの再構築
コナテを巡る争奪戦は、プレミアリーグ内外で熾烈さを増している。アーセナル、チェルシー、マンチェスター・シティといったライバルクラブも関心を示していると報じられているが、本人はレアル・マドリード以外に興味を示していないとされる。
アトレティコ・マドリードが4000万ユーロを提示したものの、コナテは即座に拒否し、レアル行きの意思を明確にしたという。
リヴァプールにとって問題は、コナテの代役をどう確保するかだ。若手のジャレル・クアンサーは今夏にレバークーゼンへ移籍し、センターバックの層は一気に薄くなった。ジョー・ゴメスは経験豊富だが、怪我の多さが不安要素。クラブはクリスタル・パレスのマルク・グエイに熱視線を送るも、フリートランスファーとなればライバルが多い。
さらに、ファン・ダイクも年齢の問題を抱えており、守備陣の再構築は待ったなしの課題となっている。この夏に大型補強を敢行し、チームの多くが入れ替わったリヴァプールだが、次なる補強ポイントはセンターバックであることは間違いない。
一方、レアル・マドリードは近年、フランス人選手を中心に補強を進めており、エドゥアール・カマヴィンガ、オーレリアン・チュアメニ、キリアン・エムバペといった同胞が揃う環境は、コナテにとって魅力的。さらに、リーガの身体的負担の少なさや、チャンピオンズリーグ常勝クラブとしての地位も、彼の決断を後押ししている。
個人的な見解
今回のコナテの契約拒否と移籍志向は、リヴァプールにとって経営と戦術の両面で深刻な課題を突きつけている。
アレクサンダー=アーノルドをフリーで失った直後に、またしても主力を無償で手放す可能性があるというのは、クラブの契約管理の甘さを如実に示している。
選手の忠誠心に依存する時代は終わり、契約戦略の巧拙がクラブの未来を左右することを、リヴァプールは痛感しているはずだ。
私の見立てでは、リヴァプールは今冬の移籍市場でコナテを売却し、移籍金を確保するのが現実的な選択肢だろう。
ファン・ダイクの年齢を考えれば、センターバックの刷新は避けられない。グエヒのような即戦力を獲得するか、あるいは新たな才能を発掘するか。いずれにせよ、守備の再構築はクラブの競争力を維持するために不可欠だ。
一方で、コナテにとってレアル・マドリードはキャリアの頂点を飾る舞台となる可能性が高い。フランス代表の同胞が集う環境で、チャンピオンズリーグ制覇を狙う。
その誘惑に抗える選手は多くない。リヴァプールに残るか、ベルナベウに向かうか――この決断は、クラブと選手双方の未来を大きく変える分岐点となる。
