マルク・グエヒの未来が、北ロンドンに傾き始めている。トッテナム・ホットスパーがクリスタル・パレスのキャプテン獲得に向けて最も有力な候補として浮上していると、英『CaughtOffside』が伝えた。今夏、リヴァプールとの契約寸前で破談となったこのセンターバックは、今やスパーズの守備再建の鍵を握る存在となっている。
トッテナムが描くグエヒの役割と守備陣の再編
トーマス・フランク監督が率いるトッテナムは、2026年1月の移籍市場に向けて守備陣の強化を急いでいる。クリスティアン・ロメロに対するレアル・マドリードやアトレティコ・マドリードからの関心が高まる中、グエヒはその後継者、あるいはミッキー・ファン・デ・フェンやケヴィン・ダンソとのパートナーとして理想的な存在。
グエヒの特徴は、90%を超えるパス成功率と空中戦での強さ。昨季はFAカップ優勝にも貢献し、ユーロ2024ではイングランド代表のスタメンとして安定したパフォーマンスを披露。150試合以上のトップリーグ経験を持つ彼は、スパーズの高いライン戦術にも適応できると見られている。
クラブはすでに1月に向けて非公式な接触を開始しており、パレス側は契約満了まで残り9か月という状況から、2500〜3000万ポンドのオファーであれば交渉に応じる可能性が高い。昨冬には7000万ポンドのオファーを拒否したパレスだが、今が最後の売却チャンスであることは明白。
リヴァプールの失敗とグエヒの心の変化
昨夏、リヴァプールはグエヒ獲得に向けて3500万ポンドの契約に合意していたが、クリスタル・パレスが土壇場で撤退。オリヴァー・グラスナー監督が「グエヒ放出なら辞任する」とまで言い切ったことで、クラブは方針転換を余儀なくされた。この一件は、グエヒにとって大きな失望となり、彼の心はリヴァプールから離れていった。
それでも、リヴァプールは1月の再挑戦を視野に入れているが、スパーズの地理的条件やフランク監督のプロジェクトが、グエヒにとってより魅力的に映っている可能性がある。特に、スタメン確約やリーダーとしての役割が提示されれば、彼の決断はトッテナムに傾くだろう。
さらに、スペイン勢も黙ってはいない。レアル・マドリードとバルセロナがグエヒに関心を示しており、代理人を通じて連絡を取り合っている。グエヒ自身もラ・リーガへの挑戦に前向きな姿勢を見せているが、1月の移籍ではプレミアリーグ内での動きが現実的と見られている。
個人的な見解
マルク・グエヒの移籍劇は、単なる選手の去就ではなく、クラブの哲学と選手の価値観が交差するドラマだ。
トッテナムがこの争奪戦をリードしている背景には、明確な戦術的ニーズと、グエヒに対する具体的な役割提示がある。
フランク監督の下での守備再建は、グエヒにとってキャリアの新たなステージとなる可能性を秘めている。
一方で、リヴァプールの失敗は、クラブの交渉力とタイミングの甘さを露呈した形だ。
グエヒが求めているのは、自らが中心となれるプロジェクト。その意味で、トッテナムは今、最も彼の心に響く提案をしているように見える。
1月の移籍市場は、グエヒにとって「選択の月」となる。北ロンドンでの新たな挑戦か、スペインでの冒険か。それとも、最後の瞬間にリヴァプールが再び舞台に上がるのか。
その答えは、数週間後に明らかになるだろう。サッカーの移籍市場は、数字だけでは語れない。そこには、選手の人生とクラブの未来が交錯する、熱い物語がある。