ヨーロッパの移籍市場で最も熱を帯びている名前のひとつが、バイエルン・ミュンヘンのフランス代表ウインガー、マイケル・オリーセ。
2024年夏にクリスタル・パレスからバイエルンへ移籍した彼は、わずか1年でクラブの攻撃の中心に成長し、2024/25シーズンには公式戦55試合で43ゴール関与（20得点23アシスト）という驚異的な数字を残した。今季もすでに開幕から9試合で11ゴール関与を記録し、ブンデスリーガの舞台で圧倒的な存在感を放っている。
その活躍ぶりに、プレミアリーグの強豪クラブが黙っているはずがない。海外メディア『Goal.com』によれば、マンチェスター・シティとリヴァプールがオリーセ獲得に強い関心を示しており、バイエルンが支払った移籍金6000万ユーロを大きく上回る、1億ユーロ超のオファーを準備しているとされる。
特にシティは、リヤド・マフレズ退団後の右ウイングの補強を長らく模索しており、オリーセを「最後のピース」として位置づけている。
マイケル・オリーセのプレースタイルとシティでの可能性
オリーセの魅力は、単なる得点力やアシスト数にとどまらない。彼の左足から繰り出されるクロスやスルーパスは、相手守備を切り裂く精度を誇り、ドリブルでの仕掛けは観客を沸かせる。
クリスタル・パレス時代からプレミアの舞台でその才能を示していたが、バイエルンでの1年は彼を「決定的な存在」へと押し上げた。トーマス・ミュラーが「ボールを預ければ必ず違いを生み出す」と評したように、オリーセは試合の流れを変える力を備えている。
シティに加入した場合、右ウイングでの起用が濃厚。左利きの彼はカットインからのシュート、あるいは逆サイドへの展開で攻撃の幅を広げることができる。
ジェレミー・ドクやフィル・フォーデンといった俊英が揃う中でも、オリーセの創造性は異質であり、グアルディオラのポジショナルプレーに新たな変化をもたらすだろう。特に、相手が深く守備を固めた際に、彼の一瞬の加速と視野の広さは試合を決定づける可能性を秘めている。
さらに、オリーセは守備面でも献身的で、ハイプレスを重視するシティの戦術に適応可能だ。バイエルンでの経験は、ポゼッションを軸とするサッカーにおける判断力を磨き上げており、シティの複雑な戦術要求にも応えられるはず。
リヴァプールの視点とバイエルンの抵抗
一方、リヴァプールにとってオリーセはモハメド・サラーの後継者として睨んでいる。サラーは2027年まで契約を残しているが、2025/26シーズンがプレミアでの最後になる可能性も取り沙汰されている。そのため、リヴァプールは早期に後継者を確保したい意向を持ち、オリーセを最優先ターゲットに据えている。
しかし、バイエルンは当然ながら強い抵抗を見せている。クラブはオリーセを「チームの新たなリーダー」と位置づけ、契約延長交渉を進めている。年俸の大幅アップを含む条件で、プレミア勢の誘惑を断ち切ろうとしているのだ。バイエルンにとって、オリーセは単なる戦力の一人ではなく、クラブの未来を象徴する存在になりつつある。
オリーセを巡る争奪戦は、2026年夏の移籍市場の最大の焦点になる可能性が高い。シティは資金力とグアルディオラの存在を武器に、リヴァプールはサラーの後継者という明確な役割を提示できる。どちらのクラブも強力な魅力を持つが、最終的にはバイエルンの姿勢とオリーセ自身の決断がカギを握る。
市場価値はすでに1億ユーロを超える水準に達しており、バイエルンが強気の姿勢を崩さない限り、交渉は長期戦となるだろう。ただし、プレミア勢が本気で動けば、移籍市場の常識を覆す金額で決着する可能性もある。
個人的な見解
マイケル・オリーセがシティに加入すれば、グアルディオラの戦術に新たな彩りを加え、攻撃の厚みをさらに増すことは間違いない。
特に、オリーセの持つ「試合を決める一撃」と「流れを変える創造性」は、既に完成度の高いシティをさらに別次元へと押し上げるだろう。
一方で、バイエルンに残留すれば、ブンデスリーガでの支配力を強め、クラブの未来を担う象徴的存在となる。
トーマス・ミュラーが語ったように、オリーセは「言葉ではなくプレーでチームを引っ張る」タイプであり、その姿勢は若手選手にとっても模範となる。
個人的には、オリーセがプレミアに戻り、再びイングランドの舞台で輝く姿を見たい。しかし、バイエルンの強固な姿勢を考えると、今冬よりも来夏の移籍市場で本格的な動きが出る可能性が高いと見ている。
いずれにせよ、オリーセの選択は彼自身のキャリアだけでなく、シティやリヴァプール、さらにはバイエルンの未来をも左右する。サッカーファンとして、このドラマの行方を見届けることに胸が高鳴っている。