マンチェスター・シティはアトレティコ・マドリードのアルゼンチン代表右サイドバック、ナウエル・モリーナに強い関心を寄せていると、英『TBR Football』が報じている。27歳のモリーナは、カタールW杯を制したアルゼンチン代表の主力として名を馳せた選手であり、攻撃力と守備力を兼ね備えた現代型フルバックの典型だ。
しかし、今季のアトレティコではディエゴ・シメオネ監督の下で序列が下がり、マルコス・ジョレンテが右サイドで優先的に起用されている。リーガでの先発はわずか1試合にとどまり、昨季までの主力から一転して出場機会を失っている。夏にはノッティンガム・フォレストからのオファーを断り残留を選んだが、現状を打破するために冬の移籍市場での移籍が現実味を帯びてきた。
シティは夏にニューカッスルのティノ・リヴラメント獲得を試みたが失敗に終わり、依然として右サイドバックの層に不安を抱えている。
今季はリコ・ルイスやマテウス・ヌネス、さらにはアブドゥコディル・フサノフといった本職ではない選手を右サイドに回して凌いでいるが、ペップ・グアルディオラにとっては理想的な布陣ではない。そこで浮上したのが、経験豊富で国際舞台でも実績を残しているモリーナというわけだ。
さらに、モリーナはマンチェスター・ユナイテッドからも関心を寄せられており、プレミアリーグの両雄による争奪戦の様相を呈している。アトレティコは1月の移籍市場での売却を検討しているとされ、シティにとっては絶好の補強機会となる可能性が高い。
モリーナのプレースタイルとシティでの適合性
モリーナの最大の特徴は、縦への推進力とクロス精度にある。アルゼンチン代表ではリオネル・メッシやフリアン・アルバレスを支える右サイドの起点として機能し、攻撃の幅を広げてきた。アトレティコでも141試合に出場し、7得点13アシストを記録している。守備的な戦術の中でも積極的に攻撃参加を試みる姿勢は、彼のプレースタイルを象徴している。
シティに加入した場合、グアルディオラの戦術においては偽サイドバック的な役割を担う可能性が高い。リコ・ルイスが昨季見せたように、中盤に入り込んでビルドアップを助ける動きは、モリーナの技術と視野の広さを考えれば十分に適応可能だ。さらに、彼の持つスプリント力と上下動のスタミナは、シティのハイライン戦術においても大きな武器となる。
一方で課題もある。アトレティコでの守備的な役割に慣れているモリーナが、シティのポゼッション主体のスタイルにどこまでスムーズに適応できるかは未知数。特に、相手のカウンターを防ぐためのポジショニングや、センターバックとの連携は時間を要するだろう。
しかし、グアルディオラが求める「攻撃的守備」を体現できる選手であることは間違いなく、適応さえ進めば一気に主力へと駆け上がる可能性を秘めている。
また、モリーナのシティ移籍の可能性は82%と高く見積もられており、実現性はかなり高いとされている。これは、シティの現有戦力において右サイドバックの競争相手が限られていることも影響している。
個人的な見解
リコ・ルイスという若き才能が台頭している一方で、経験豊富な即戦力を加えることで、右サイドの競争は一層激化する。
グアルディオラは常に複数のオプションを持つことを好む監督であり、モリーナの加入は戦術的な柔軟性をさらに高めるだろう。
また、モリーナ自身にとっても、キャリアの転機となる挑戦になるはずだ。アトレティコでの序列低下は決して彼の実力を否定するものではなく、むしろ新たな環境で再び輝きを取り戻すチャンスと捉えるべきだ。
シティのような攻撃的なチームでプレーすることで、彼の持つ攻撃センスがより解放される可能性がある。もしこの移籍が実現すれば、プレミアリーグの右サイドに新たなダイナミズムが生まれることは間違いない。
さらに、ユナイテッドも獲得に動いていることから、モリーナの去就は冬の移籍市場における大きな注目ポイントとなる。シティが本気で動けば、彼の加入はチームの完成度をさらに高め、欧州制覇への道を後押しするだろう。
