フリアン・アルバレスの名前が、欧州サッカー界の移籍市場を再び熱狂させている。2024年夏にマンチェスター・シティからアトレティコ・マドリードへと移籍したアルゼンチン代表FWは、わずか1年でクラブの象徴的存在へと成長した。2025/26シーズン序盤、ラ・リーガで7試合6得点、さらにチャンピオンズリーグではフランクフルト戦で1得点2アシストを記録し、攻撃の中心として圧倒的な存在感を放っている。
この活躍に目をつけたのが、バルセロナとリバプール。バルセロナは37歳となったロベルト・レヴァンドフスキの後継者を探しており、アルバレスを最優先ターゲットに据えている。リバプールもアレクサンデル・イサクやウーゴ・エキティケを獲得したばかりだが、アルバレスの万能性と勝負強さを高く評価し、依然としてリストから外していないと、英『TEAMtalk』が伝えている。
しかし、現実的な壁は高い。アトレティコはアルバレスと2030年までの長期契約を結んでおり、違約金は2億ユーロを超える水準に設定されていると報じられている。財政難に苦しむバルセロナにとって、この金額を捻出するのはほぼ不可能に近い。リバプールにしても、既存の前線を抱える中で巨額の投資を行う合理性は薄い。
アトレティコでの飛躍とシメオネの信頼
アルバレスのキャリアは、常に挑戦と進化の連続だった。リーベル・プレートで頭角を現し、マンチェスター・シティではアーリング・ハーランドの陰に隠れながらも重要なゴールを決め続けた。そしてアトレティコでは、シメオネの戦術哲学の中で「走り、戦い、決める」ストライカーとして完全にフィットした。
シメオネは海外メディア『ESPN』の取材に対し「フリアンはクラブに献身的で、我々は彼を長くここに留めたい」と語り、クラブの姿勢を明確にした。アルバレス自身も「自分の頭にあるのはアトレティコで勝つことだけ」と強調し、移籍報道を一蹴している。この発言は、単なるリップサービスではなく、彼が今の環境に満足し、さらに成長を遂げようとしている証拠だ。
さらに注目すべきは、彼のプレースタイルの進化。シティ時代はセカンドストライカー的な役割が多かったが、アトレティコでは中央での決定力に加え、サイドに流れてチャンスメイクする柔軟性も発揮している。今季のデータを見ても、7試合6得点に加えて3アシストを記録しており、得点力と創造性を兼ね備えた存在へと進化している。
個人的な見解
フリアン・アルバレスをめぐる移籍報道は、欧州サッカーの力学を象徴している。
バルセロナはレヴァンドフスキの後継者を探す必然性があり、リバプールは前線の競争をさらに激化させたいという野心を抱えている。
しかし、現実的な視点に立てば、アトレティコがこのタイミングでエースを手放す理由は見当たらない。
むしろ、クラブのプロジェクトの中心に据えられたアルバレスは、シメオネの哲学を体現する存在として、今後数年にわたりチームを牽引するだろう。
個人的には、アルバレスがアトレティコに残ることは彼自身のキャリアにとってもプラスだと考える。
シティ時代にはアーリング・ハーランドの陰に隠れがちだったが、マドリードでは絶対的な主役としてプレーできる。
25歳という年齢を考えれば、今は安定した環境で得点力とリーダーシップを磨く時期だ。移籍の可能性が完全に消えることはないが、少なくとも2026年夏までは、アルバレスが赤白のユニフォームを着て欧州の舞台を沸かせ続ける姿を見られるはずだ。
