ゼノ・デバスト。この若きセンターバックの名前が、リヴァプールの補強リストに浮上している。ポルトガルではなく、ベルギーの名門アンデルレヒトに所属しており、国内外のスカウトたちの注目を集めている。
サッカージャーナリストのベン・ジェイコブズ氏によると、リヴァプールは1月の移籍市場に向けてセンターバックの補強を検討しており、デバストはその候補のひとりとしてリストアップされているという。
リヴァプールの守備陣は、ファン・ダイクの年齢的なピークを越えたこと、コナテの契約満了など、複数の懸念材料を抱えている。若手のジョヴァンニ・レオーニの長期離脱も決まり、枚数に不安を残す。そんな中、21歳のデバストは、冷静な判断力と戦術理解度を兼ね備えた“知性派CB”として、リヴァプールの補強戦略にぴたりと合致している。
ゼノ・デバストのプレースタイルとリヴァプールへの適合性
ゼノ・デバストは、189cmの長身ながらも俊敏性に優れ、ボール保持時の落ち着きと配球能力が際立つ。彼はアンデルレヒトでのプレーを通じて、最終ラインからのビルドアップにおいて中心的な役割を担ってきた。
右足から繰り出される縦パスは、相手のプレスを無効化し、中盤の選手にスムーズにボールを供給する。これは、リヴァプールを退団したトレント・アレクサンダー=アーノルドや、現所属のアルゼンチン代表MFアレクシス・マック・アリスターとの連携を想像させる要素だ。
また、彼の守備におけるポジショニングは非常に洗練されており、ラインの高さを保ちながらも背後のスペースを管理する能力に長けている。単にフィジカルで押し切るタイプではなく、状況判断と読みの鋭さで相手の攻撃を寸断するスタイルは、ファン・ダイクの系譜を継ぐものと言っても過言ではない。
さらに、彼はベルギー代表としてもすでにA代表に招集されており、国際舞台での経験も積み始めている。若手ながらも落ち着き払ったプレーぶりは、プレミアリーグの激しいテンポにも適応できる可能性を感じさせる。
移籍市場での立ち位置と争奪戦の行方
『Transfermarkt』によれば、ゼノ・デバストの市場価値は3000万ユーロ。アンデルレヒトとの契約は2029年まで残っており、クラブ側も簡単には手放すつもりはないだろう。しかし、リヴァプールにとっては、スヴェン・ボトマンやウィリアン・パチョといった高額なターゲットに比べて、デバストは“手が届く現実的な選択肢”として位置づけられている。
一方で、マンチェスター・ユナイテッドやアーセナルもデバストに関心を示しているとされており、争奪戦の様相を呈している。ユナイテッドはリサンドロ・マルティネスの負傷などを背景に、守備陣の再構築を急務としている。アーセナルも、サリバの負担軽減とローテーション強化を視野に入れており、デバストのような若手CBの獲得は理にかなっている。
リヴァプールがこの争奪戦を制するためには、クロップの下での成長環境や、ファン・ダイクとの共演という魅力を前面に押し出す必要がある。アンフィールドでの出場機会、戦術的なフィット感、そしてプレミアリーグという舞台での挑戦。これらの要素が、デバストの心を動かす可能性は十分にある。
個人的な見解
ゼノ・デバストの獲得は、リヴァプールにとって“守備の未来”を形作る一手になると感じている。
彼のような戦術的に成熟した若手CBは、プレミアリーグでも希少であり、スロット監督の下での成長は、ファン・ダイクの後継者としてだけでなく、チームのリーダーシップを担う存在にまで発展する可能性を秘めている。
もちろん、争奪戦の激化は避けられない。ユナイテッドやアーセナルが本格的に動けば、移籍金は跳ね上がるだろう。
しかし、リヴァプールがこのタイミングで動くことには意味がある。守備陣の再構築を進める中で、デバストのような“知性と冷静さを兼ね備えた若者”を迎え入れることは、チームの未来を形作る第一歩になるはずだ。
