スタジアムの熱気が冷めやらぬ10月、移籍市場の裏側ではすでに冬の駆け引きが始まっている。注目を集めているのは、ニューカッスル・ユナイテッドに所属するデンマーク代表FWウィリアム・オスラ。
22歳のストライカーは、今夏の移籍市場最終日にアイントラハト・フランクフルトからのオファーを受けながらも、クラブ間の合意に至らず残留。しかし、海外メディア『Goal.com』の報道によれば、フランクフルトはすでに個人合意を取り付けており、冬の移籍市場で再び獲得に動く構えを見せている。
ニューカッスルはオスラの評価額を約3000万ユーロと設定しており、フランクフルトにとっては決して軽い負担ではない。夏の時点ではローン移籍に買い取りオプションを付ける形での交渉が進められていたが、最終的にニューカッスルが拒否。結果としてオスラはセント・ジェームズ・パークに留まった。しかし本人の希望は明確で、フランクフルト行きを強く望んでいるとされる。
ウィリアム・オスラのプレースタイルとフランクフルトの狙い
オスラは191cmの長身を活かした空中戦の強さと、裏へ抜けるスピードを兼ね備えたストライカーだ。ニューカッスルでは今季ここまでプレミアリーグ7試合に出場し、先発は1試合のみながら1得点を記録。限られた出場時間の中でも、ゴール前での存在感とポストプレーの確かさを示している。
フランクフルトがオスラに注目する背景には、昨季以降続く前線の補強課題がある。ウーゴ・エキティケを失い、前線の枚数を増やしたいのは当然の考え。ディノ・トップメラー監督は流動的な攻撃を志向するが、ゴール前で確実に仕留めるフィニッシャーの存在は不可欠。オスラはその役割を担える人材として、クラブの補強リスト最上位に位置づけられている。
さらに、フランクフルトは過去にも冬の移籍市場での “二度目の挑戦” を成功させてきた歴史を持つ。2023年にはウーゴ・エキティケを夏に逃したものの、翌冬に獲得を実現させた。今回のオスラ獲得計画も、その再現を狙うものと見られる。
ニューカッスルの事情と移籍実現の可能性
一方のニューカッスルにとって、オスラは将来性豊かな若手でありながら、現状では新戦力ニック・ウォルトメイドの陰に隠れる存在となっている。出場機会を求める本人の意向と、クラブの戦力バランスの間で、冬の移籍市場は大きな決断の場となるだろう。
フランクフルトはローン移籍料500万ユーロに加え、2500万ユーロの買い取りオプションを提示したとされる。ニューカッスルが求める金額との差は依然として大きいが、交渉の余地は残されている。特に、選手本人が強く移籍を望んでいる点は、交渉を後押しする材料となるはずだ。
個人的な見解
フランクフルトにとっては、エキティケに代わる攻撃の軸を再構築するための重要な一手であり、ニューカッスルにとっては将来性ある選手を手放すか否かというクラブ哲学に関わる判断となる。
特にブンデスリーガの舞台でオスラがレギュラーとして出場機会を得れば、その潜在能力が一気に開花する可能性は高い。
個人的には、オスラのプレースタイルはブンデスリーガのテンポと相性が良いと感じている。縦に速い展開の中で、彼のスピードとフィジカルは大きな武器になるだろう。
フランクフルトが資金面でどこまで踏み込めるかが最大の焦点だが、もし実現すれば、冬の移籍市場を象徴するビッグディールになるはず。
ニューカッスルにとっても、適切な条件での売却はチーム再編の資金源となり得る。両クラブの思惑が交錯する中で、この交渉は冬の移籍市場の目玉のひとつとして注目を集め続けるに違いない。