マンチェスター・ユナイテッドは再び守備の補強を模索している。ターゲットに浮上しているのは、ラ・リーガで急成長を遂げているエルチェのセンターバック、ダヴィド・アッフェングルーバーであると、スペイン紙『Fichajes』が伝えた。
24歳のオーストリア人DFは、2024年夏にシュトゥルム・グラーツからエルチェへ移籍。わずか1年でクラブの守備の中心に定着し、今季ラ・リーガではすでに8試合に出場、チームを7位に押し上げる原動力となっている。
アッフェングルーバーの最大の特徴は、派手なアクションではなく、冷静な判断力と安定感にある。相手の攻撃を未然に防ぐポジショニング、空中戦での圧倒的な強さ、そしてビルドアップにおける落ち着きが際立つ。彼の存在は守備ライン全体に安心感を与え、戦術的な柔軟性を高めている。
ユナイテッドが彼に注目する理由は明確だ。リサンドロ・マルティネスは長期離脱からの復帰途上であり、ハリー・マグワイアは契約満了が迫っている。さらに、ルーク・ショーの将来も不透明で、守備の軸を確立できていない。クラブは2026年夏に新たなセンターバックを獲得する計画を立てており、アッフェングルーバーはその候補の筆頭に浮上している。
アッフェングルーバーの実力とユナイテッドへの適性
アッフェングルーバーは、シュトゥルム・グラーツ時代に126試合に出場し、10得点7アシストを記録。空中戦の強さとセットプレーでの得点力は、守備者の枠を超えた存在感を示してきた。エルチェ移籍後はラ・リーガのスピードと強度に適応し、対人守備の安定感をさらに高めている。今季も8試合で失点を最小限に抑える働きを見せ、クラブの好調を支えている。
ユナイテッドにとって、彼の加入は守備の安定化だけでなく、戦術的な幅を広げる意味を持つ。リサンドロ・マルティネスのアグレッシブな守備と組み合わせれば、互いの弱点を補完し合う理想的なコンビが形成される可能性がある。さらに、マタイス・デ・リフトやレニー・ヨロといった若手との競争は、守備陣全体のレベルを押し上げるだろう。
移籍市場の観点からも、アッフェングルーバーは魅力的な存在だ。現在の市場価値は約1500万ユーロとされており、ユナイテッドにとっては比較的リーズナブルな投資である。
アトレティコ・マドリードやセビージャも関心を示しているが、資金力とブランド力で勝るユナイテッドが本気を出せば、獲得の可能性は十分にある。ただし、エルチェは冬の移籍市場での放出を拒む姿勢を見せており、現実的には2026年夏の移籍が有力視されている。
エルチェでの成長と代表への扉
アッフェングルーバーはまだオーストリア代表のA代表キャップを持っていないが、U-19、U-21での経験を積み、今季のラ・リーガでの活躍によって代表入りが現実味を帯びてきた。オーストリア代表は近年、ダヴィド・アラバといった実力者を擁してきたが、世代交代の波が押し寄せている。アッフェングルーバーがその一角を担う日も遠くないだろう。
彼のプレースタイルは、オーストリア代表の堅実な守備戦術にも適合する。冷静な読みと空中戦の強さは、国際舞台でも十分に通用する資質だ。ユナイテッド移籍が実現すれば、プレミアリーグでの経験が彼をさらに成長させ、代表での地位を確固たるものにする可能性が高い。
個人的な見解
アッフェングルーバーの獲得は、ユナイテッドにとって守備の再建を象徴する補強になると考えている。
彼は派手な存在ではないが、安定感とリーダーシップを兼ね備えた選手であり、チーム全体のバランスを整える力を持っている。
リサンドロ・マルティネスやデ・リフトといった個性派DFと組み合わせれば、守備陣の完成度は一気に高まるだろう。
一方で、プレミアリーグの強度に完全に適応できるかは未知数だ。ラ・リーガでの成功がそのままイングランドで通用するとは限らない。
しかし、24歳という年齢は挑戦に最適であり、成長曲線を描く余地は十分にある。
ユナイテッドが本気で欧州の頂点を目指すなら、こうした“静かなリーダー”の存在は欠かせない。個人的には、この移籍が実現すれば、クラブの未来にとって極めて価値のある投資になると確信している。
