プレミアリーグの移籍市場を最も騒がせている話題のひとつが、ブライトンによるクリストス・ムザキティス獲得への動きだ。
ギリシャの名門オリンピアコスに所属する18歳のミッドフィールダーに対し、ブライトンは4000万ユーロのオファーを提示した。しかし、オリンピアコスは即座にこれを拒否。スポーツディレクターのダルコ・コヴァチェヴィッチは「彼はダイヤモンドだ」と強調し、売却の意思がないことを明言したと、サッカージャーナリストのニコロ・シーラ氏が伝えた。
これはただ金額の問題ではない。オリンピアコスは直近でチャラランポス・コストゥラスをブライトンへ3700万ユーロで売却したばかりであり、立て続けに主力を放出することはクラブの競争力を削ぐリスクを伴う。むしろ、ムザキティスをさらに成長させ、将来的により高額で売却する青写真を描いていると考えるのが自然だ。
一方のブライトンは、モイセス・カイセドやアレクシス・マック・アリスターを発掘し、育て上げ、巨額の移籍金で売却してきた実績を持つ。『FootballTransfers』も「ムザキティスは次なる1億ユーロ級のミッドフィールダーになり得る」と分析しており、クラブがこの逸材に強い執着を見せるのは必然。
クリストス・ムザキティスの才能と未来像
ムザキティスは18歳ながら、すでにオリンピアコスの中盤で確固たる地位を築きつつある。昨季は公式戦30試合に出場し、2ゴール4アシストを記録。数字以上に目を引くのは、そのプレーの完成度だ。パス成功率81.7%、ロングパス成功率53.3%、ドリブル成功率83.3%、デュエル勝率58.8%と、攻守両面で高い水準を示している。
そのスタイルは、かつてブライトンで躍動したカイセドを彷彿とさせる。ボール奪取から前線への推進力、そして冷静な配球能力。プレミアの激しいテンポにも適応できる下地をすでに備えている。
さらに、ギリシャ代表でもU-21からA代表にステップアップし、ネーションズリーグで昇格を決める試合では先発出場して勝利に貢献した。国際舞台での経験も積み始めており、成長曲線は急上昇を描いている。
オリンピアコスが拒否した背景には、クラブの育成哲学と経済的余裕がある。ギリシャ国内でのタイトル獲得、欧州カップ戦での経験、そして代表での飛躍。これらを経て初めて、ムザキティスは真の完成形に近づくはずだ。クラブとしても、今は売却よりも成長を優先する段階にある。
個人的な見解
今回のブライトンの動きは、クラブのスカウティング網と育成哲学を象徴するものだと強く感じる。
4000万ユーロという金額は、18歳の選手に対しては破格だが、ブライトンは過去にも「早すぎる」と言われた投資を成功に変えてきた。ムザキティスもその系譜に連なる可能性を秘めている。
一方で、オリンピアコスが拒否した判断も極めて合理的だ。ギリシャ国内でのタイトル獲得、欧州カップ戦での経験、そして代表での飛躍。
これらを経て初めて、ムザキティスは真の完成形に近づくはずだ。ブライトンが再びオファーを強化するのか、それとも他クラブが参戦するのか。いずれにせよ、この18歳の才能が欧州サッカーの中心に躍り出る日は、そう遠くないと確信している。