リーズ・ユナイテッドがノッティンガム・フォレスト所属のクリス・ウッド獲得を真剣に検討しているという報道が相次いでいる。英『Leedsunited.News』によれば、ダニエル・ファルケ監督は冬の移籍市場で攻撃陣の補強を最優先課題とし、その候補の一人として33歳のニュージーランド代表ストライカーをリストアップしている。
ウッドは2015年から2017年にかけてリーズでプレーし、88試合で44ゴールという圧倒的な数字を残した。特に2016/17シーズンにはチャンピオンシップで27得点を挙げ、当時のリーズを昇格争いに押し上げた立役者だった。
その後バーンリー、ニューカッスル・ユナイテッドを経て、2023年にフォレストへ加入。昨季2024/25シーズンにはプレミアリーグで20ゴールを記録し、年齢を重ねてもなおゴール前での存在感を誇示した。
しかし、今季途中からフォレストを率いるアンジェ・ポステコグルー監督の戦術は、前線にスピードと流動性を求める傾向が強く、典型的なターゲットマンであるウッドの役割は縮小している。
実際、開幕からの数試合で出場機会が減少しており、クラブ内部でも去就を巡る議論が高まっていると伝えられている。契約は2027年まで残っているが、フォレストが財政的な柔軟性を確保するために放出を検討する可能性は十分にある。
リーズがクリス・ウッドを求める理由
リーズがウッドに再び目を向ける背景には、明確なチーム事情がある。ファルケ監督の下でリーズは攻撃的なスタイルを志向しているが、ゴール前での決定力不足が顕著になっている。若手やスピード型のアタッカーは揃っているものの、相手守備を打ち破る最後の一撃を担えるストライカーが不足しているのだ。
ウッドはその穴を埋める存在として理想的。プレミアリーグで積み上げてきた実績は揺るぎなく、空中戦の強さ、ポジショニングの巧みさ、そしてゴール前での冷静さは今も健在だ。昨季の20得点は偶然ではなく、彼が依然としてトップレベルで通用することを鮮明に示している。リーズにとっては、即戦力かつ経験豊富なストライカーを迎え入れる絶好の機会となる。
さらに、ウッド自身にとってもリーズ復帰は特別な意味を持つ。エランド・ロードでの成功体験は彼のキャリアを大きく押し上げたものであり、クラブとサポーターにとっても再会は感情的なインパクトを伴う。
もちろん、2017年の移籍時に一部のファンから批判を浴びた過去もあるが、時間の経過とともにそのわだかまりは薄れつつある。実際、サム・バイラムやジョニー・ハウソンといった元選手の復帰例が示すように、クラブとファンは再会を受け入れる土壌を持っている。
フォレストの事情と移籍実現の可能性
移籍実現にはいくつかのハードルが存在する。まず、フォレストが主力ストライカーを手放すかどうかは不透明だ。ポステコグルー監督の戦術的な構想次第でウッドの立場は変わり得る。
監督が続投すれば出場機会は限られる可能性が高いが、もしクラブが監督交代に踏み切れば、ウッドの役割は再び拡大するかもしれない。
また、移籍金の問題も大きい。ウッドの市場価値は『Transfermarkt』によれば1000万ユーロ前後とされているが、フォレストは1500万ポンド程度を要求する可能性がある。
リーズが財政的にどこまで踏み込めるかは、クラブの今後の補強戦略に直結する。さらに、ウッドにはウェストハム・ユナイテッドなど他クラブからの関心も報じられており、競争が激化する可能性もある。
個人的な見解
クリス・ウッドのリーズ復帰は、懐かしさにとどまらず、現実的な補強戦略として十分に理にかなっていると感じる。
ファルケのチームは若さとエネルギーに満ちているが、ゴール前での冷静さと経験値を兼ね備えたストライカーが不足しているのは明白。
ウッドはその穴を埋める存在であり、短期的には得点力の向上、長期的には若手への手本としての役割も期待できる。
もちろん、年齢的なリスクやフォレスト側の意向といった不確定要素はある。しかし、昨季20ゴールという数字は、彼がまだトップレベルで勝負できることを強烈に証明している。
リーズがプレミアリーグで安定した地位を築くためには、こうした即効性のある補強が不可欠だ。もしこの移籍が実現すれば、エランド・ロードは再びウッドのゴールで沸き立つだろう。
さらに言えば、この移籍はクラブのアイデンティティを再確認する機会にもなる。
リーズは常に情熱的なサポーターと共に歩んできたクラブであり、ウッドのように過去にクラブを背負った選手が再びピッチに立つことは、クラブの歴史と未来を象徴する補強となる。
クラブの歩みを振り返りながら未来を描く、その象徴的な一手として、この動きは大きな注目を集め続けるに違いない。