ユベントスは冬の移籍市場に向けて大きな賭けに出ようとしている。イタリアメディア『Juve-Live』によれば、クラブはニューカッスル・ユナイテッドのサンドロ・トナーリ獲得を最優先課題と位置づけ、トゥーン・コープマイネルスと5000万ユーロを組み合わせたオファーを準備しているという。
トナーリは2023年夏にACミランからニューカッスルへ移籍したが、賭博規定違反による10か月の出場停止を経て、2024-25シーズンから再びプレミアリーグの舞台に立った。復帰後は中盤の舵取り役として存在感を取り戻し、ニューカッスルの攻守を支える不可欠な選手となっている。25歳という年齢も含め、今後10年を担える中盤の核としての価値は計り知れない。
一方で、ユベントスが差し出すコープマイネルスは、2024年にアタランタから加入したものの、期待されたほどのインパクトを残せていない。
イゴール・トゥドール監督は彼をより守備的な役割に配置し直すなど試行錯誤を続けているが、クラブ内での評価は下降気味。市場価値は3000万ユーロ前後とされ、金銭を上乗せすることでニューカッスルの心を動かそうというのがユベントスの狙いである。
トナーリの本心と移籍の現実性
ただし、この取引には大きな壁が存在する。トナーリ本人はユベントスではなく古巣ACミランへの復帰を強く望んでいる。ニューカッスルでの経験を経た今も、彼の心はサン・シーロに残っているのだ。ユベントスがどれほど魅力的な条件を提示しても、選手の意思がミラノに向いている限り、交渉成立の可能性は低い。
ニューカッスルにとっても、トナーリ放出は簡単な決断ではない。彼はクラブのプロジェクトを象徴する存在であり、プレミアリーグでの野心を体現する選手だ。
コープマイネルスは確かに実力者だが、プレースタイルは異なり、即座にトナーリの代役を務められる保証はない。さらに、5000万ユーロという金額がプレミアの資金力を持つクラブにとって十分な補償と映るかどうかも疑問が残る。
加えて、ACミランが動きを見せれば、状況はさらに複雑化する。ミランは中盤の強化を模索しており、トナーリが市場に出るとなれば真っ先に手を挙げる可能性が高い。ユベントスとミラン、そしてニューカッスルを巻き込んだ三つ巴の争奪戦に発展するシナリオも現実味を帯びてきた。
個人的な見解
今回の報道を踏まえると、ユベントスがセリエAでの安定した戦いを続けるためには、中盤の質を一段引き上げる必要があるのは明白。
ロカテッリやテュラムといった選手は一定の役割を果たしているが、試合を決定づける存在感を放つ選手は不足している。その意味で、トナーリは理想的な補強ターゲットである。
しかし、現実的に見ればこの取引が成立する可能性は高くない。トナーリの心はミランにあり、ニューカッスルも彼を手放す理由を持たない。
ユベントスが提示する条件は確かに魅力的だが、プレミアの資金力を前にすれば5000万ユーロは決定打になり得ない。
むしろ、ユベントスがコープマイネルスを放出候補と見なしている点に注目すべきだろう。彼の去就は、クラブの中盤再編の方向性を大きく左右する。
今後の展開としては、ユベントスがトナーリ獲得に固執するのか、それとも別のターゲットに切り替えるのかが焦点となる。もしACミランが本格的に動けば、ユベントスは完全に後手に回る可能性が高い。
いずれにせよ、この冬の移籍市場でトナーリの名前が最も注目されるのは間違いない。彼の決断が、セリエAとプレミアリーグ双方の勢力図を揺るがすことになるだろう。
