フランス・リーグアンは、ここ十数年で数多くの守備的才能を輩出してきた。ラファエル・ヴァラン、ウィリアム・サリバ、イブラヒマ・コナテといった名だたるセンターバックたちがその象徴だ。そして今、ナントから新たな逸材が現れた。17歳のセンターバック、タイレル・タティである。
タティはナントでトップチームの主力としてプレーしており、既にリーグアンでの出場を重ねている。英『Caught Offside』の報道によれば、アーセナル、マンチェスター・ユナイテッド、リバプール、トッテナムといったプレミアリーグの強豪が彼をリストアップしている。さらに、バルセロナもタティに関心を寄せていると伝えている。
タティのプレースタイルは、年齢を疑うほどの成熟度にある。対人守備の強さ、ポジショニングの冷静さ、そして空中戦での競り合いのタイミングの良さは、既に完成された選手のようだ。さらに、足元の技術も高く、後方からのビルドアップに積極的に関与する姿勢は、現代的なセンターバックに不可欠な要素を備えている。
プレミアリーグとラ・リーガが狙う理由
アーセナルはピエロ・イカンピエを獲得したばかりだが、依然として守備陣の強化を模索している。タティのような将来性豊かな選手を追い続ける姿勢は、ミケル・アルテタのチーム作りの一貫性を示している。
マンチェスター・ユナイテッドもリサンドロ・マルティネスや若手DFレニー・ヨロといった実力者を抱えながら、次世代の守備者を確保しようとしている。トッテナムはルカ・ヴスコヴィッチがローン移籍で覚醒しているが、さらなる競争力を求めてタティをスカウトしている。
センターバック陣の刷新を狙い、今夏18歳DFジョヴァンニ・レオーニを迎え入れたリバプールも若手DFへの関心を失っておらず、守備の将来像を描く上でタティを候補に加えている。
一方で、バルセロナも財政難に苦しみながらも、若手の確保には積極的。クラブはセンターバックの補強を急務と考えており、タティのような将来性ある選手をリストアップしている。
ただし、ナントとの契約は2028年まで残っており、移籍がすぐに実現する可能性は低い。タティは既にプロ契約を締結しており、クラブは彼を将来の柱として位置づけている。さらに、現在は軽傷を抱えており、10月19日のリール戦での復帰を目指している。負傷からの復帰後も安定したパフォーマンスを維持できるかが、今後の評価を大きく左右するだろう。
個人的な見解
タイレル・タティのキャリアは、若手選手がどのように成長の道を選ぶかを考える上で非常に興味深い。
プレミアリーグやラ・リーガの名門からの関心は、彼の才能を裏付けるものだが、17歳という年齢を考えれば、今すぐの移籍は必ずしも最良の選択ではない。
むしろ、ナントで継続的に試合に出場し、フィジカルと戦術理解をさらに磨くことが、長期的な成功につながると考える。
個人的には、タティは数年後にフランス代表の中核を担う可能性を秘めている。ヴァランやサリバの後継者として、国際舞台で堂々と戦う姿が想像できる。
プレミアリーグやラ・リーガの誘惑は強いが、焦らず段階を踏むことで、彼は真のワールドクラスへと成長するはずだ。今後の数シーズン、彼の選択と成長を追いかけることは、サッカーファンにとって大きな楽しみとなるに違いない。