PSG戦で輝いた“静かな司令塔” アイユーブ・ブアディにマンチェスター・ユナイテッドが熱視線

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PSG戦で輝いた“静かな司令塔” アイユーブ・ブアディにマンチェスター・ユナイテッドが熱視線 Manchester United

パルク・デ・プランスの夜、リールの背番号が静かに輝いていた。18歳のミッドフィルダー、アイユーブ・ブアディ。パリ・サンジェルマンとの一戦でフル出場を果たした彼のプレーは、観客の目だけでなく、マンチェスター・ユナイテッドを含む複数クラブのスカウトの視線をも釘付けにした。

英『TEAMtalk』の移籍専門記者ディーン・ジョーンズ氏によれば、ユナイテッドのフットボールディレクターであるクリストファー・ヴィヴェルはブアディに強い関心を示しており、「彼を非常に高く評価している」と語っている。クラブは彼に対して明確な獲得ルートを描いているようだが、現在のユナイテッドは再建の途上にあり、即戦力としての期待には慎重な姿勢を見せている。

アイユーブ・ブアディ、18歳にして完成された中盤の頭脳

2008年10月生まれのブアディは、13歳でリールのアカデミーに加入。16歳でトップチームデビューを果たすと、2024-25シーズンには公式戦36試合に出場。今季もリーグ・アンで6試合で先発しており、リールの中盤において欠かせない存在となっている。

彼のプレースタイルは、視野の広さと判断力に支えられたパスワークが特徴だ。ボールを持った瞬間に複数の選択肢を描き、最も効果的なルートを選び取る冷静さは、年齢を疑いたくなるほど。さらに、守備面でもインターセプトやポジショニングに優れ、攻守のバランスを保つ存在としてリールの中盤を支えている。

その成熟度の高さは、ユナイテッドが再建期において“未来の軸”として彼を見ている理由のひとつだ。若さゆえの不安定さよりも、すでにプロの舞台で結果を残している実績が、クラブの目に留まったのだろう。

ユナイテッドの中盤再建とブアディの“道”

マンチェスター・ユナイテッドは昨季プレミアリーグで15位に沈み、今シーズンも本領発揮まで至っていない。夏の移籍市場ではマテウス・クーニャやベンヤミン・シェシュコといった攻撃陣の補強に注力した一方で、中盤の補強は後回しにされた。そのツケが、今まさに露呈している。

アモリム監督の3-4-3システムでは、ダブルボランチの役割が極めて重要。しかし、現在のスカッドではそのポジションに安定感をもたらせる選手が不足しており、試合ごとにパフォーマンスが揺れ動いている。そんな中で、ブアディのような“ゲームを整える”能力を持つ選手は、戦術的にも極めてフィットする可能性が高い。

もちろん、プレミアリーグの強度にすぐに適応できるかは未知数だ。だが、ユナイテッドは彼に即戦力としての役割を求めているわけではない。むしろ、数年後の中盤の軸として育て上げることを視野に入れている。

ジョーンズ記者も「ユナイテッドは彼に明確な成長ルートを用意するだろう」と語っており、クラブの長期的なビジョンの中でブアディが重要なピースになることは間違いない。

さらに、ヴィヴェルの存在も大きい。かつてRBライプツィヒで数々の若手を発掘・育成してきた彼は、才能を見極める目に定評がある。ブアディに対しても、将来性だけでなく、すでにプロレベルで通用する要素を見出しているのだろう。

PSG戦で見せた“静かな支配力” ユナイテッドが求める資質

ブアディがPSG戦で見せたプレーは、若手の躍動ではなかった。試合のテンポを読み、ボールを失わず、相手のプレスをいなす姿は、まるでベテランのような落ち着きがあった。彼のパス成功率は90%を超え、守備でも複数回のインターセプトを記録。リールの中盤を支える“静かな支配者”として、確かな爪痕を残した。

ユナイテッドが彼に注目する理由は、まさにこの“静かな支配力”にある。派手なドリブルやゴールではなく、試合全体をコントロールする力。それこそが、アモリム監督の戦術において最も必要とされる資質だ。

ユナイテッドはこれまで、即効性を求めて高額なスター選手に頼る傾向が強かった。しかし、今のチームに必要なのは、数年後にチームの背骨となるような若き才能を見極め、育てる覚悟だ。ブアディはその条件をすべて満たしている。

個人的な見解

アイユーブ・ブアディの名前がユナイテッドの補強リストに挙がったことは、クラブのスカウティングがようやく“未来”に目を向け始めた証だと感じる。

これまでのユナイテッドは、即効性を求めて高額なスター選手に頼る傾向が強かった。しかし、今のチームに必要なのは、数年後にチームの背骨となるような若き才能を見極め、育てる覚悟だ。

ブアディはその条件をすべて満たしている。すでにリーグ・アンで50試合近い経験を積み、ビッグマッチでも物怖じしないメンタリティを持つ。

彼のような選手にこそ、時間と環境を与える価値がある。仮に今すぐトップチームで出場機会を得られなくても、ユースやローン移籍を通じて段階的に成長させる道筋は描けるはずだ。

そして何より、彼のような“静かなる司令塔”がユナイテッドの中盤に加わることで、チームのリズムや戦術の幅が大きく広がる可能性がある。派手なプレーではなく、確かな判断と技術で試合を動かす。

そんな選手が、今のユナイテッドには必要だ。私はこの移籍が実現することを、心から期待している。未来のオールド・トラッフォードで、ブアディが静かにゲームを支配する姿を想像せずにはいられない。