2026年に向けて、リヴァプールの補強戦略は明確そのもの。クラブはセンターバックの刷新を最優先課題として掲げている。
イブラヒマ・コナテとジョー・ゴメスの去就が揺れていることに加え、フィルジル・ファン・ダイクがキャリアの晩年に差し掛かっている現実を考えれば、守備の再構築は避けられない。そこで浮上しているのが、ニューカッスルのオランダ代表スフェン・ボットマンである。
イギリスメディア『Daily Briefing』のマーク・ブルス記者によると、リヴァプールはすでにボットマンを2026年に向けた主要ターゲットとしてリストに加えており、2年連続でニューカッスルからの引き抜きを画策しているようだ。
25歳という年齢は、経験と将来性を兼ね備えた理想的なタイミング。2022年にニューカッスルへ加入して以来、度重なる負傷に悩まされながらも、復帰後は再び守備の柱として存在感を示している。直近の試合でもスタメンに定着し、エディ・ハウ監督の信頼を取り戻しつつある。
空中戦の強さ、対人守備の安定感、そして後方からのビルドアップ能力。これらはアンフィールドが次世代の守備リーダーに求める資質そのものである。ファン・ダイクがかつてサウサンプトンから加入した際にチームを一変させたように、ボットマンもまた守備の象徴となり得る存在だと見られている。
ニューカッスルとの因縁と移籍交渉の難しさ
ただし、この移籍は単純な補強話では終わらない。背景には、今夏のアレクサンデル・イサク移籍劇がある。リヴァプールは移籍市場最終日に1億2500万ポンドという英国史上最高額でスウェーデン代表ストライカーを引き抜き、ニューカッスルとの関係を決定的に悪化させた。そのイサクと親しいボットマンを再び狙うとなれば、両クラブ間の緊張はさらに高まるのは必至。
ニューカッスルはすでに「リヴァプールとの新たな戦い」に備えているとされ、ボットマン放出には強硬な姿勢を取ることが予想される。エディ・ハウ監督も彼をチームの中核として残したい意向を明言しており、交渉は長期戦になる可能性が高い。
さらに、リヴァプールはマルク・グエヒ（クリスタル・パレス）やムリージョ（ノッティンガム・フォレスト）といった他の候補もリストアップしているが、ボットマンのプレースタイルと経験値は唯一無二。もし本気で動けば、再びプレミアリーグ内での大型移籍劇が繰り広げられることになるだろう。
ボットマンのプレースタイルとリヴァプールへの適合性
ボットマンの最大の武器は、193cmを超える体格を活かした空中戦の強さだ。プレミアリーグにおける空中戦勝率は70％を超え、セットプレーの守備でも攻撃でも存在感を発揮する。また、左利きのセンターバックという希少性も大きな魅力だ。リヴァプールは長年、左利きのビルドアップ型CBを探してきたが、ボットマンはその条件を満たす数少ない選手である。
さらに、彼の冷静な判断力はリヴァプールのハイライン戦術に適している。相手のカウンターを受け止める際のポジショニングは安定しており、ファン・ダイクの後継者として自然にフィットする可能性が高い。加えて、イサクとの旧交がチーム内の適応をスムーズにすることも期待される。
個人的な見解
リヴァプールがボットマンを狙うのは、未来を託す投資だと考える。ファン・ダイクの後継者探しはクラブにとって避けられないテーマであり、ボットマンはその条件を満たす数少ない存在になり得る。
彼を中心に据えた守備再構築は、アンフィールドに新たな黄金期をもたらす可能性を秘めている。
一方で、ニューカッスルとの関係悪化は避けられない。イサクに続き、再び主力を引き抜けば、両クラブ間の緊張はさらに高まるだろう。
しかし、リヴァプールは常に勝利と未来を優先してきたクラブだ。もしボットマンがアンフィールドにやって来るなら、それは単なる移籍ではなく、クラブの次なる歴史を切り拓く布石となるはずだ。