プレミアリーグのニューカッスル・ユナイテッドは、CSKAモスクワの19歳ウィンガー、キリル・グレボフを巡る熾烈な争奪戦の中心にいると、トルコ人ジャーナリストのエクレム・コヌル氏が伝えた。アトレティコ・マドリード、RBライプツィヒ、アタランタ、インテル、ローマ、ベンフィカといった欧州の強豪が名を連ね、冬の移籍市場に向けて動きを加速させている。
グレボフは2023年にトップチームへ昇格して以来、ロシア・プレミアリーグで確かな存在感を放ってきた。今季もすでにリーグ戦9試合で4得点1アシストを記録し、攻撃面での決定力と推進力を証明している。
身長174センチと小柄ながら、低重心を活かしたドリブル突破と、左右両サイドをこなせる柔軟性が彼の大きな武器だ。さらに、ロシア代表にも招集されるなど、国内外での評価は急上昇している。
右サイドではアントニー・エランガが加入したばかりだが、まだ適応途上にあり、ジェイコブ・マーフィーの後継者を探す動きもある。グレボフの爆発力と若さは、クラブの長期的なプロジェクトに合致している。サウジ資本による強化計画の中で、彼のような才能を早期に確保することは、未来の攻撃陣を形作る上で極めて重要。
政治的リスクと経済的ハードルを超えられるか
しかし、この移籍にはピッチ外の要素が大きく影を落とす。英国とロシアの政治的緊張関係は依然として厳しく、選手の移籍交渉に複雑な影響を与える可能性がある。
さらに、グレボフは2027年までCSKAモスクワと契約を結んでおり、クラブ側はロシア代表の未来と目される逸材を安売りするつもりはない。市場価値は現時点で150万ユーロ前後とされるが、実際の交渉ではそれ以上の金額が提示されることは避けられないだろう。
興味深いのは、グレボフ本人がマンチェスター・ユナイテッドへの憧れを抱いていると報じられている点。ニューカッスルが本気で彼を獲得するには、クラブのプロジェクトの魅力を前面に押し出し、選手本人を納得させる必要がある。
さらに、イングランド国内でもアストン・ヴィラやブライトンが関心を示しており、アーセナルも将来的なターゲットとしてリストアップしているとも伝えられおり、ニューカッスルは国外だけでなく国内のライバルとも競り合う必要がある。
個人的な見解
グレボフのプレースタイルを見れば、ニューカッスルが彼を「未来の右ウイング」として構想しているのは納得できる。
スピードとテクニックを兼ね備え、守備面でも献身的に走れる彼は、エディ・ハウのハイプレス戦術にフィットする可能性が高い。
特に、相手のラインを切り裂く縦への推進力は、プレミアリーグの強度にも適応できるだろう。
一方で、政治的リスクや本人の志向を考えると、ニューカッスルがこの争奪戦を制するのは容易ではない。むしろ、彼を巡る競争はクラブの「国際的な交渉力」を試す試金石になると感じている。
ニューカッスルがグレボフを手にするかどうかは、今後数か月の交渉にかかっている。しかし、いずれにせよ彼の名前は、2025年冬の移籍市場を語る上で欠かせないキーワードとなるだろう。
