リヴァプールは開幕5連勝で勢いに乗ったものの、その後2連敗を喫し、首位から2位へと転落した。アルネ・スロット監督の下で新たなサイクルを迎えたチームは、夏にフロリアン・ヴィルツとアレクサンデル・イサクらを獲得。
英国史上最高額の移籍金を2度も更新するという積極補強を行った。しかし、ルイス・ディアスがバイエルン・ミュンヘンへ去った後、左サイドの穴は埋まらないまま残されている。
その空白を埋める存在として浮上しているのが、ユベントスの20歳FWケナン・ユルディズ。トルコ代表としてブルガリアとのワールドカップ予選に出場し、圧巻の2ゴールを記録した試合には、リヴァプールのスカウト陣が視察に訪れていたと、トルコメディア『Turkish-football』が報じた。
ケナン・ユルディズのプレースタイルとリヴァプール適性
ユルディズは左ウイングを主戦場としながら、トップ下やセカンドストライカーとしても機能できる柔軟性を備える。最大の武器は、狭いスペースでも相手を切り裂くドリブルと、ゴール前での冷静なフィニッシュだ。今季はユベントスで公式戦8試合で2ゴール4アシストを記録している。
リヴァプールの戦術に照らし合わせると、ユルディズの特性は極めて魅力的。スロット監督が志向するハイプレスと流動的なポジショナルプレーにおいて、彼の運動量と戦術理解度は大きな武器となる。さらに、ヴィルツやイサクといった新戦力との連携を考えれば、攻撃の多様性を一気に広げる可能性を秘めている。
一方で、獲得は容易ではない。ユベントスはユルディズを「未来の象徴」と位置づけ、契約延長交渉を進めているとされる。さらにアーセナルやチェルシーも関心を示しており、移籍金は1億ユーロ規模に達する可能性が高い。リヴァプールが本気で動くなら、財政面での覚悟と、本人を説得するだけのプロジェクトの明確さが求められる。
熾烈な争奪戦とリヴァプールの未来像
リヴァプールは過去にも、若き才能を早期に確保することで黄金期を築いてきた。フィリペ・コウチーニョやルイス・スアレスのように、クラブの未来を変える補強は常に「大胆な一手」から始まっている。
ただし、現実的には長期戦になるだろう。ユベントスが彼を手放すとは考えにくく、リヴァプールが提示できるのは「プレミアリーグでの挑戦」と「欧州の頂点を狙うプロジェクト」だ。ユルディズ自身がどの未来を選ぶのか、その決断が移籍市場の大きな焦点となる。
個人的な見解
ルイス・ディアス退団後に空いた左サイドの穴を埋めるだけでなく、次世代の攻撃の軸を据えるというクラブの未来図を描く補強になり得る。
20歳という年齢を考えれば、数年後にはプレミアリーグを代表する存在に成長する可能性も十分にある。
一方で、ユベントスが彼を手放す可能性は低く、現実的には熾烈な争奪戦が待ち受けている。
リヴァプールが本当に必要としているのは「即戦力」か「未来への投資」か。
その判断が、この移籍戦線の行方を左右する。私自身は、ユルディズのような才能に早い段階で賭けることこそ、リヴァプールが再び欧州の頂点に立つための布石になると確信している。
