ユベントスは深刻な危機に直面している。守備の要であるグレイソン・ブレーメルが、左膝内側半月板の損傷により10月14日にリヨンで手術を受け、少なくとも1か月半から2か月の離脱が確定した。昨季は前十字靭帯断裂でほぼシーズンを棒に振っただけに、同じ膝の再手術はクラブにとって悪夢の再来だ。
ブレーメルは復帰後、トゥドール監督の戦術において不可欠な存在だった。ラインを押し上げる勇気、空中戦での圧倒的な強さ、そして相手エースを封じ込める1対1の強さ。彼がピッチに立つか否かで、ユベントスの守備はまるで別物になる。
だが、現実は厳しい。直近のコモ戦ではルガーニとロイド・ケリーがコンビを組んだが、2失点を喫して敗戦。守備の脆さが露呈し、ブレーメル不在の影響が一目瞭然となった。
この窮地を打開するため、クラブは1月の移籍市場で即戦力センターバックの補強を急務としている。その最有力候補が、チェルシーで構想外となっているフランス代表DFアクセル・ディサシであると、イタリアメディア『Juve-Live』が伝えた。
アクセル・ディサシがユベントスに与える可能性
ディサシは2023年夏にモナコからチェルシーへ移籍したが、クラブの混乱と監督交代の影響で安定した出場機会を得られなかった。今季もマレスカ監督の下で序列を下げ、いわゆる「ボム・スクワッド」に組み込まれている。市場価値は約2500万ユーロとされ、チェルシーはローン移籍に買い取りオプションを付ける形での放出に前向きと報じられている。
ディサシの最大の武器は、191cmを超える体格を生かした空中戦の強さと対人守備。プレミアリーグで屈強なストライカーたちと渡り合った経験は、セリエAのフィジカルな戦いにも直結する。さらに、3バックの中央や右サイド、時には右SB的な役割もこなせる柔軟性を持ち、戦術的なオプションを広げる存在となり得る。
ただし、課題もある。集中力の波やポジショニングの甘さは過去にも指摘されており、ブレーメルのように守備陣を統率するリーダーシップまでは期待できない。ユベントスにとっては「守備の柱」ではなく「穴を埋める駒」としての役割が現実的だろう。それでも、経験豊富な27歳のフランス人CBがセリエAで再起を図る姿は、クラブにとっても本人にとっても大きなチャンスとなる。
個人的な見解
今回のディサシ獲得の噂は、ユベントスが直面する守備の危機を鮮明に映し出している。
ブレーメルの離脱は単なる戦力ダウンではなく、戦術の根幹を揺るがす致命的な痛手。ユベントスは今季、トゥドール監督の下で堅守速攻を軸に戦ってきたが、その土台を支えるブレーメルを欠くことで、試合運びそのものが不安定になっている。
ディサシはその穴を完全に埋める存在ではないにせよ、最低限の安定感をもたらす可能性は十分にある。
一方で、ディサシ自身にとってもこの移籍はキャリアの分岐点だ。チェルシーで構想外となり、欧州トップレベルでの居場所を失いつつある彼にとって、ユベントスという舞台は再評価を勝ち取る最後のチャンスかもしれない。
セリエAの守備的な文化と彼のフィジカルスタイルは相性が良く、適応できれば意外な成功を収める可能性もある。
結論として、ユベントスがこの冬にディサシを獲得するかどうかは、ブレーメルの回復状況とクラブの財政事情に左右されるだろう。
しかし、守備の安定を取り戻すために即効性のある補強が必要なのは間違いない。ディサシがその答えとなるのか、それとも一時的なつなぎに過ぎないのか。
1月の移籍市場は、ユベントスの未来を大きく左右する分岐点となりそうだ。
