ヨーロッパの移籍市場を巡る最大の話題のひとつが、アルダ・ギュレルを巡る攻防。トルコの至宝と呼ばれる20歳の攻撃的MFは、今季レアル・マドリードで公式戦11試合に出場し、8ゴールに関与する圧巻のパフォーマンスを披露している。シャビ・アロンソ監督の下で確固たる地位を築きつつあり、クラブの将来を担う存在として位置づけられている。
しかし、その輝きがマンチェスター・シティの関心を再び呼び起こした。トルコ紙『Fanatik』の報道によれば、ペップ・グアルディオラはギュレルを「次世代の創造的ハブ」として高く評価し、クラブの補強リストの最上位に据えているという。
シティはすでにレアル・マドリードに対して移籍金の可能性を探る動きを見せたが、返答は冷淡で、レアルは「放出不可」の姿勢を崩していない。
ギュレル自身もマドリードでの生活に満足しており、移籍を望んでいないとされる。契約は2029年まで残っており、クラブの長期的なプロジェクトの中心に据えられていることは明白だ。
ペップ・グアルディオラが描くアルダ・ギュレルの役割
マンチェスター・シティがギュレルに執着する理由は分かりやすい。ケビン・デ・ブライネが対談し、クラブは中盤の創造性を担う新たな存在を必要としている。ギュレルの左足から繰り出される精密なスルーパス、狭い局面を切り裂くドリブル、そしてゴール前での決定力は、グアルディオラが求める「ポジショナルプレー」の中核にぴたりと当てはまる。
さらに、シティは過去にもギュレルを追った歴史を持つ。まだ10代の頃からその才能に目をつけていたが、最終的に彼はレアル・マドリードを選んだ。未完の物語が、今再び動き出そうとしている。
ただし、現実的な壁は高い。レアルはギュレルを「未来の旗手」として扱っており、クラブの象徴的存在に育て上げる意志を隠していない。アロンソ監督も彼を戦術の中心に据えており、放出はチームの根幹を揺るがす行為に等しい。
レアル・マドリードはこれまでも、若き才能を育て上げてクラブの象徴にしてきた歴史を持つ。ラウール、イケル・カシージャス、そして最近ではヴィニシウス・ジュニオールやジュード・ベリンガムがその系譜に連なる。ギュレルもまた、その流れに連なる存在として期待されている。
特に今季は、アロンソ監督が積極的に若手を起用する方針を打ち出しており、ギュレルはその象徴的な存在だ。彼のプレーは若手の成長ではなく、チームの攻撃を根本から変える力を持っている。実際、彼がピッチに立つときのレアルは、攻撃のテンポが一段階速くなり、観客の期待感も一気に高まる。
個人的な見解
アルダ・ギュレルを巡る今回の動きは、ヨーロッパサッカーの未来を映し出す鏡のように感じられる。
マンチェスター・シティが彼に執着するのは、デ・ブライネの後継者探しという現実的な課題に直結している。
一方で、レアル・マドリードはギュレルをクラブの象徴に育て上げることで、次の黄金期を築こうとしている。
私の見立てでは、短期的にギュレルがシティへ移籍する可能性は極めて低い。だが、サッカーの世界は常に流動的であり、数年後には状況が一変しているかもしれない。
もしシティが本気で彼を獲得したいのであれば、レアルの強固な姿勢を崩すだけの「歴史的なオファー」が必要になるだろう。
ギュレルはまだ20歳。彼のキャリアは始まったばかりであり、今後10年以上にわたって欧州サッカーの中心に立ち続ける可能性を秘めている。
