レアル・マドリードの19歳ストライカー、エンドリッキの未来が大きな注目を集めている。パルメイラスでの圧倒的な得点力を武器に、2022年に7000万ユーロで契約を結び、2024年に正式加入した逸材。
しかし、今季ここまでラ・リーガの開幕10試合で一度もピッチに立っていない。シャビ・アロンソ監督は彼をメンバーに含めてはいるものの、実際の出場機会はゼロ。これは選手本人にとってもクラブにとっても深刻な問題となりつつある。
英『Daily Briefing』によれば、マンチェスター・ユナイテッドを含む8クラブがエンドリッキのローン移籍に関心を示している。ユナイテッドは前線の得点力不足に悩まされており、即戦力としてではなく「爆発力を秘めた切り札」として彼を迎え入れる可能性があると報じられている。
さらに英『West Ham Zone』は、エンドリッキが代理人に「1月に出なければならない」と伝えたと報じた。ウェストハムはルーカス・パケタとの関係性を武器に獲得を狙っているが、実際に成立する可能性は低いと指摘している。
つまり、レアル・マドリードは彼を「未来の柱」と位置づけながらも、現状ではベンチ要員に留めており、選手自身は出場機会を求めて移籍を志向する。この矛盾が、1月の移籍市場で大きな波紋を呼ぶことになる。
マンチェスター・ユナイテッドとウェストハムの思惑
マンチェスター・ユナイテッドは、ルベン・アモリムの下で再建を進めているが、得点力不足が深刻だ。今夏に加入したシェシュコやムベウモらがまだまだ本領発揮とはいかない中、エンドリッキのような「一瞬で試合を変える存在」は喉から手が出るほど欲しい人材。特にオールド・トラフォードの観客は、若き才能が躍動する姿を強く求めている。
一方、ウェストハムは攻撃陣の停滞が顕著。2024年に獲得したニクラス・フュルクルクが怪我と不調で期待に応えられず、リーグ戦で複数得点を挙げた試合はわずか1度。
ロンドン・スタジアムの空気は重く、クラブは新たな刺激を必要としている。エンドリッキとパケタのブラジル人コンビは、ファンに夢を与える可能性を秘めているが、資金力やクラブの格を考えれば、ユナイテッドに比べて分が悪いのは否めない。
エンドリッキのプレースタイルと成長曲線
エンドリッキの魅力は、非凡なポテンシャルだけではない。173cmと決して大柄ではないが、驚異的なバネとフィジカルを兼ね備え、空中戦でも存在感を発揮する。さらに、左足から繰り出す強烈なシュートは、ゴール前での一瞬の隙を逃さない。
パルメイラス時代には、わずか17歳で公式戦12得点を記録し、南米の舞台で「次世代の怪物」と呼ばれた。だが、ヨーロッパのトップクラブで求められるのは継続性と戦術理解だ。レアル・マドリードの攻撃陣にはキリアン・エムバペ、ヴィニシウス・ジュニオール、ロドリゴといった世界的スターが並び、彼が割って入るのは容易ではない。
そのため、ローン移籍で実戦経験を積むことは、キャリアの成長曲線を描く上で極めて重要になる。プレミアリーグのフィジカルな環境は、彼のポテンシャルをさらに引き出す可能性が高い。
個人的な見解
エンドリッキの現状は、才能と環境のミスマッチを象徴している。レアル・マドリードは彼を未来の象徴として迎え入れたが、現実にはスター選手の陰に隠れ、出場機会を得られない。
19歳という年齢は、成長にとって最も重要な時期であり、試合に出られなければ才能が鈍化するリスクがある。
私の見立てでは、1月のローン移籍は極めて現実的。ユナイテッドであれば、プレッシャーの中で真価を発揮するチャンスを得られるだろうし、ウェストハムであれば安定した出場機会を確保できるかもしれない。
どちらにせよ、彼がピッチに立ち続けることこそが最優先であり、クラブも選手もその点で一致しているはずだ。
エンドリッキは、ただの「未来の希望」ではなく、今まさに成長を求める若きストライカーだ。1月の移籍市場は、彼のキャリアにとって決定的な分岐点となるだろう。
