リシャルリソンの去就はトッテナム・ホットスパーにとって最も注目度の高いテーマのひとつとなっている。英『Football Insider』の最新報道によれば、クラブは依然として彼を前線の主力として扱う意向を示しており、本人も残留に傾いている。しかし、その一方でMLSのオーランド・シティやLAFCが強い関心を寄せており、1月の移籍市場を前に不確定要素が増しているのも事実。
リシャルリソンは2022年夏にエヴァートンから6000万ポンドで加入したが、期待されたほどの得点力を発揮できず、批判を浴び続けてきた。だが、トーマス・フランク監督が今季から指揮を執ると状況は変わった。
開幕戦から彼をファーストチョイスのストライカーとして起用し、8月のバーンリー戦では2得点を挙げるなど存在感を示した。リーグ戦8試合で3得点1アシストという数字は突出してはいないが、前線のハードワークや空中戦での強さはチームに欠かせない要素となっている。
一方で、契約は残り1年強となり、クラブとしても将来的な判断を迫られている。MLSのオーランド・シティは4000万ユーロ規模のオファーを検討しており、2026年ワールドカップを見据えてブラジル代表の看板選手を呼び込みたい意向を持っている。リシャルリソン自身もサウジからの誘いを断った過去があるが、キャリアの次のステップを考える年齢に差し掛かっているのは間違いない。
トッテナムの前線補強とリシャルリソンの立ち位置
トッテナムは現在、ドミニク・ソランケが負傷離脱中で、ランダル・コロ・ムアニも戦線を離れている。結果として、リシャルリソンが唯一の信頼できるストライカーとして起用され続けている状況だ。この現実が、クラブが彼を手放しにくい最大の理由である。
さらに、補強の選択肢も限られている。ユヴェントスのドゥシャン・ヴラホヴィッチ獲得の噂は根強いが、1月に巨額の移籍金を投じる可能性は低い。むしろ、フリー移籍のタイミングを狙うという報道もあり、現実的にはリシャルリソンを軸にシーズンを戦い抜く構図が濃厚。
数字だけを見れば、加入から3年で公式戦23得点という成績は物足りない。しかし、彼のプレーは得点だけで評価できるものではない。前線からの守備、相手CBとの肉弾戦、そしてブラジル代表で培った勝負強さは、フランク監督の戦術において重要な役割を果たしている。
個人的な見解
リシャルリソンのキャリアは、常に期待と失望の間を揺れ動いてきた。エヴァートン時代の爆発力を知る者からすれば、トッテナムでの数字は物足りなく映るかもしれない。
しかし、彼の存在は単なる得点源以上の意味を持つ。前線でのハードワークや精神的なタフさは、チーム全体の戦い方を支えている。
MLSからの関心は今後も続くだろうが、現時点での移籍は彼のキャリアにとって早すぎる。28歳という年齢を考えれば、プレミアリーグであと数年は勝負すべき。
トッテナムがヴラホヴィッチのような大型補強に踏み切らない限り、リシャルリソンは前線の中心であり続けるはずだ。むしろ、彼がこのクラブで真のエースとして覚醒できるかどうかが、今季のスパーズの成否を左右するだろう。
リシャルリソンはまだ“未完成の大器”である。だが、その不完全さこそが彼の魅力であり、ファンを惹きつける理由でもある。
今季こそ、彼がトッテナムで真価を証明するシーズンになると確信している。