レアル・ソシエダに所属する日本代表MF久保建英の去就が大きな注目を集めている。スペインメディア『Fichajes』で報じられている通り、アストン・ヴィラが冬の移籍市場で久保の獲得に本腰を入れる可能性が高まっている。
ソシエダは今季、開幕からわずか9試合で勝ち点6しか積み上げられず、ラ・リーガ18位に沈んでいる。クラブの停滞は深刻で、毎年のように主力が流出し、補強も後手に回っている。
久保自身も初年度に記録したリーグ戦9ゴール7アシストから数字を落とし、昨季はリーグ戦5得点にとどまった。24歳というキャリアの黄金期を迎える中で、このまま低迷するクラブに縛られることへの不安が募っているのは当然のこと。
一方、アストン・ヴィラはウナイ・エメリ監督の下でプレミアリーグ上位を狙えるチームへと進化している。直近ではトッテナムを撃破するなど勢いを増しており、プレミアリーグ上位フィニッシュを視野に入れた補強が急務となっている。右ウイングの補強は最優先課題であり、久保はその条件に合致する存在と言える。
エメリの戦術と久保建英の適性
エメリのサッカーは、サイドからの推進力とインサイドへの柔軟な侵入を組み合わせることを重視する。久保の最大の武器である左足のキック精度、狭い局面でのボール保持力、そして守備への献身性は、プレミアリーグの強度に適応するための重要な資質。
さらに、久保は右ウイングにとどまらず、セカンドトップやトップ下でも機能する柔軟性を持つ。これはエメリが好む可変システムにおいて大きな武器となる。オリー・ワトキンスを軸にした攻撃に久保が加われば、右サイドからの崩しに厚みが増し、プレミア上位勢との戦いでも一段上の破壊力を備えることになる。
また、久保はビジャレアル時代にエメリの指導を受けており、両者の相性は実証済みだ。エメリが久保を信頼していることは明らかで、ヴィラにとっては即戦力かつ将来性を兼ね備えた補強となる。
契約解除条項と移籍の現実性
久保の契約には6000万ユーロのリリース条項が設定されている。この金額は決して小さくないが、プレミアリーグの資金力を考えれば十分に現実的だ。実際、ヴィラは欧州カップ戦を見据えた補強に積極的であり、久保の獲得はクラブの野心を示すシグナルとなる。
ただし、リヴァプールやアーセナルといった他のプレミア勢も久保に関心を寄せていると報じられており、争奪戦に発展する可能性は高い。特にリヴァプールはモハメド・サラーの後継者候補として久保をリストアップしているとされ、マーケティング面でも大きな魅力を感じている。
久保の移籍は、クラブキャリアだけでなく日本代表にも大きな影響を与える。プレミアリーグでの経験は、代表戦でのリーダーシップや試合の強度に直結する。特に2026年ワールドカップを控える中で、久保が欧州トップリーグで主役を張る姿は、日本代表にとっても大きな追い風となるだろう。
また、久保は語学力や適応力の高さでも知られており、プレミアの環境にスムーズに溶け込む可能性が高い。スペインで培った戦術理解度と、アジア人選手としての柔軟性は、ヴィラの戦術に新たな彩りを加えるはずだ。
個人的な見解
久保建英のキャリアは、常に挑戦と再生の連続だった。バルセロナ下部組織から始まり、レアル・マドリードでの苦難、そしてソシエダでの復活。
だが、今のソシエダに彼の未来を託すのはあまりにリスクが大きい。降格圏に沈むクラブに残れば、彼の才能は埋もれてしまう危険がある。
アストン・ヴィラは、その才能を解き放つ舞台として理想的。エメリという理解者が存在し、プレミアリーグという最高峰の環境が待っている。
もちろん、6000万ユーロという金額は簡単ではないが、ヴィラが本気で欧州の舞台に定着するつもりならば、この投資は十分に価値がある。
個人的には、久保がプレミアでどこまで通用するのかを見たい気持ちが強い。
日本サッカーにとっても、彼が欧州トップリーグで主役を張る姿は大きな刺激になるはずだ。久保が次のステージを選ぶ瞬間は、彼自身だけでなく、日本サッカーの未来をも左右する分岐点になるだろう。
