ASローマの中盤を支配しているのはフランス代表ミッドフィールダー、マヌ・コネ。昨季ボルシア・メンヒェングラートバッハから加入した彼は、ジャン・ピエロ・ガスペリーニの戦術の中心に据えられ、今季もセリエA全試合に先発出場。
交代なしでフル出場を続けるその姿は、クラブにとって欠かせない存在であることを如実に示している。実際、今季のセリエAにおける中盤選手のパフォーマンスランキングでは、ルカ・モドリッチに次ぐ2位と評価されており、その安定感と影響力はリーグ全体でも際立っている。
ローマの首位争いを支えるコネの存在感は、当然ながら欧州のビッグクラブの関心を呼び込んでいる。その筆頭がルベン・アモリム率いるマンチェスター・ユナイテッド。2026年の移籍市場を見据えた中盤再建計画の中で、カゼミロの退団が濃厚視され、マヌエル・ウガルテが期待に応えられなかった現状を踏まえ、クラブは新たな舵を切ろうとしている。
ユナイテッドはアダム・ウォートンやカルロス・バレバといった高額ターゲットを追う一方で、移籍金5000万ポンド以下で獲得可能とされるコネを “即戦力かつ戦術的適合度の高い選択肢” としてリストアップしていると英『United In Focus』が報じた。
アモリム戦術とコネの親和性
ルベン・アモリムがユナイテッドに持ち込んだ戦術的アイデンティティは、3バックを基盤としたコンパクトな守備と、縦への素早いトランジションにある。10月19日に行われたリヴァプール戦では、アウェイのアンフィールドで2-1の勝利を収め、アモリムの戦術がプレミアリーグの強豪相手にも通用することを証明した。
この試合で際立ったのは、中盤の強度と展開力を兼ね備えた選手の重要性であり、まさにコネがその役割を担える人材であることを示唆している。
ローマでのデータを見ても、コネは1試合平均で複数回のボール奪取とプログレッシブパスを記録し、守備と攻撃の両面でチームを前進させている。そのスタイルは、アモリムのユナイテッドに即座にフィットするだろう。さらに、フランス代表としても定着しつつある24歳という年齢は、クラブの長期的な再建計画において理想的なピースとなる。
ユナイテッドが検討する他の候補、ウォートンやバレバは確かに才能豊かだが、移籍金は7000万〜1億ポンド規模とされる。その点、コネは費用対効果の面でも現実的なターゲットであり、財政面での柔軟性を確保しながら戦力を強化できる点は魅力的と言える。
個人的な見解
マヌ・コネはユナイテッドにとって「戦術的即戦力」と「経済的合理性」を兼ね備えた稀有な存在になり得る。
アモリムの戦術において、中盤のダイナモは攻守両面で試合の流れを変えるエンジンである。コネはその役割を担える数少ない選手であり、クラブのアイデンティティ再構築の象徴となるかもしれない。
一方で、ローマでの地位を考えれば、彼を引き抜くのは容易ではない。契約は2029年まで残っており、ガスペリーニの下で「セリエA屈指の中盤」として評価を高めている現状を考えれば、ユナイテッドが本気で動くには相応の説得力とプロジェクトの明確さが必要。
だが、もしこの移籍が実現すれば、ユナイテッドの中盤は一気に欧州トップレベルの強度と創造性を取り戻すだろう。
