マンチェスター・ユナイテッドがアスレティック・クラブの攻撃的ミッドフィールダー、オイアン・サンセトに対して7000万ユーロ規模のオファーを準備しているとスペイン紙『Fichajes』が報じている。
25歳のサンセトは今季ラ・リーガで7試合1得点を記録。昨季の29試合15得点という驚異的な数字からは落ち着いたものの、依然として中盤からゴールを奪える数少ない存在として評価されている。
サンセトは188cmの長身を活かした空中戦の強さに加え、ペナルティエリアに飛び込むタイミングの鋭さ、そして左足から繰り出す強烈なシュートを武器にする。
さらに、プレーメーカーとしての視野とパス精度を備え、偽9番としても機能できる柔軟性を持つ。ユナイテッドが求める「得点できるミッドフィールダー」という条件を満たすだけでなく、戦術的な多様性をもたらす存在だ。
ブルーノ・フェルナンデスとメイヌーの未来が与える影響
ユナイテッドがサンセトに熱視線を送る背景には、ブルーノ・フェルナンデスの去就問題がある。フェルナンデスは2025年夏にサウジアラビアからの巨額オファーを拒否し、残留を決断。契約は2027年まで残っているが、2026年以降の動向は依然として不透明であり、クラブは後継者探しを進めざるを得ない。
さらに、コビー・メイヌーの不安定な立場も影響している。メイヌーは今季プレミアリーグで先発出場がなく、出場時間はわずか113分にとどまっている。本人は2026年ワールドカップを見据えて出場機会を求めており、冬の移籍市場でローン移籍を模索していると報じられている。ユナイテッドにとって中盤の将来設計は揺らぎつつあり、サンセトの獲得はその穴を埋める現実的な選択肢となる。
アスレティックの哲学とプレミア勢の競合
アスレティック・クラブは地元出身選手を核に戦う哲学を持ち、サンセトはその象徴的存在。契約は2032年まで残っており、違約金は8000万ユーロ以上とされる。ユナイテッドの7000万ユーロという提示額はクラブの決断を揺さぶる水準ではあるが、交渉は容易ではない。
さらに、アーセナル、トッテナム、アストン・ビラといったプレミア勢もサンセトに関心を示している。特にアーセナルは中盤の得点力強化を狙っており、ユナイテッドとの直接的な競合は避けられない。ニューカッスルも将来的な補強候補として名前が挙がっており、争奪戦は激化の一途をたどっている。
サンセトの獲得は、ユナイテッドにとってクラブ再建の象徴的な一歩となる可能性がある。フェルナンデスの後継者探しという現実的な課題に加え、得点力を備えた中盤の存在は停滞する攻撃を蘇らせる可能性を秘めている。アモリムの戦術においても、サンセトの柔軟性は大きな武器となるだろう。
一方で、アスレティックの哲学を考えれば、彼を引き抜くことはクラブのアイデンティティを揺るがす行為でもある。ユナイテッドが本気で動くなら、金額だけでなく、プロジェクトの魅力や選手本人の意思をどう動かすかが重要になる。サンセトが「バスクの象徴」として残るのか、それとも「ユナイテッドの未来」を担うのか。今後数か月の動きは、プレミアリーグとラ・リーガ双方の勢力図を左右する分岐点になる。
個人的な見解
オイアン・サンセトは、今のユナイテッドに最も必要なタイプの選手だと感じる。得点力と創造性を兼ね備えた中盤の存在は、停滞する攻撃を蘇らせる可能性を秘めている。
フェルナンデスが残留を決断したとはいえ、彼の年齢や契約状況を考えれば、後継者を探す動きは避けられない。サンセトはその条件を満たすだけでなく、アモリムの戦術に新たな選択肢を与えるだろう。
ただし、アスレティックの哲学を考えれば、彼を引き抜くことは容易ではない。
ユナイテッドが本気で動くなら、金額だけでなく、プロジェクトの魅力や選手本人の意思をどう動かすかが重要になる。サンセトがオールド・トラッフォードに立つ未来は、移籍市場の一ニュースにとどまらず、クラブの再建における決定的な一歩となるはず。
