プレミアリーグの移籍市場で最も注目を集めている選手のひとりが、エバートンのセネガル代表FWイリマン・エンディアイだ。2024年夏に加入した彼は、わずか1年でクラブの攻撃の中心に成長し、デイビッド・モイーズ監督からも「チームを前進させる存在」と高く評価されている。
今季リーグ戦では3得点にとどまっているが、単純な数字では測れない影響力を放っている。前線での柔軟なポジショニング、相手守備を切り裂くドリブル、そしてセネガル代表で培った勝負強さが、エバートンの攻撃に厚みを与えている。
エンディアイは現在25歳。契約は2029年まで残っており、エバートンにとってはクラブの未来を担う存在だ。しかし、ニューカッスルとトッテナムが彼の獲得に強い関心を示していると英『TEAMtalk』が報じている。
移籍金は6000万ポンド以上とされ、『Transfermarkt』が算出する市場価値3500万ユーロを大きく上回る評価額が設定されている。クラブは放出を望んでいないが、チャンピオンズリーグ出場権を持つクラブからの誘いは、選手本人にとって大きな魅力となる。
ニューカッスルとトッテナムの戦略的狙い
ニューカッスルにとって、エンディアイ獲得は攻撃陣再編の一環。アレクサンデル・イサクを売却したことで資金的余裕が生まれ、代役を探す動きが加速している。エディ・ハウ監督の下でチャンピオンズリーグを戦うためには、前線に多様性と爆発力を兼ね備えた選手が不可欠であり、エンディアイはその条件を満たす存在。
一方のトッテナムは、アンジェ・ポステコグルー体制の終焉を経て新たなフェーズに入った。ソン・フンミンの退団後、攻撃の軸を模索する中で、エンディアイのようにウィングでも中央でも機能する選手は理想的な補強ターゲットとなる
両クラブに共通するのは、エンディアイの「ユーティリティ性」への評価だ。彼はウィンガーとしてサイドを切り裂くだけでなく、セカンドトップや攻撃的MFとしても機能する。守備への献身性も高く、現代サッカーにおける前線の万能型アタッカーとしての価値は計り知れない。
個人的な見解
エンディアイの移籍を巡る攻防は、エバートンにとってクラブ再建の象徴を手放すか否かという決断であり、ニューカッスルやトッテナムにとっては欧州の舞台で存在感を示すための「最後のピース」となり得る。
6000万ポンドという評価額は決して安くはないが、プレミアリーグの資金力を考えれば十分に現実的な数字だ。
私の見立てでは、エンディアイがどのクラブを選ぶかが彼のキャリアの分岐点になる。エバートンで主役として成長を続ける道もあれば、ニューカッスルやトッテナムで欧州の大舞台に挑む道もある。
いずれにせよ、彼の持つ爆発力と柔軟性は、どのクラブにとっても攻撃の景色を一変させる可能性を秘めている。今後数か月の動向は、プレミアリーグ全体の勢力図を左右するだろう。
エンディアイが残留すれば、エバートンは彼を中心に新たな黄金期を築く可能性がある。一方で移籍すれば、ニューカッスルやトッテナムが欧州での存在感を一気に高めることになる。
どちらに転んでも、彼のキャリアとプレミアリーグの未来に大きな影響を与えることは間違いない。
