バイエルン・ミュンヘンのセンターバック、ダヨ・ウパメカノが今、欧州移籍市場の中心に立っている。契約は来年6月末に満了予定。ドイツ紙『SPORT BILD』の報道によれば、ウパメカノは年俸1600万ユーロという高額な条件を提示しており、これがクラブとの交渉を難航させている。
この状況を受けて、リヴァプールとチェルシーが獲得レースに本格参戦。両クラブとも守備陣の再編が急務であり、ウパメカノのような即戦力かつ経験豊富なCBは喉から手が出るほど欲しい存在だ。さらに、レアル・マドリードも水面下で動いているとされ、争奪戦は三つ巴の様相を呈している。
リヴァプールがウパメカノに注目する背景
リヴァプールがウパメカノ獲得に動く最大の理由は、イブラヒマ・コナテの退団が現実味を帯びていることだ。契約満了を控えたコナテの後釜として、同じフランス代表であり、RBライプツィヒ時代に共にプレーしたウパメカノは理想的な選択肢となる。
アルネ・スロット監督の戦術において、センターバックには高いラインを維持しながらも、1対1での強さとスピード、そしてビルドアップ能力が求められる。ウパメカノはそのすべてを兼ね備えており、特に対人守備ではブンデスリーガでも屈指の強さを誇る。彼の加入は、ファン・ダイクの負担を軽減し、守備陣の安定化に直結するだろう。
また、ウパメカノがフリーで獲得可能となれば、財政面でも理想的な補強となる。関心が報じられているクリスタル・パレスのイングランド代表DFマルク・グエイとダブル獲りとなれば、リヴァプールの最終ラインは一気に刷新される。
チェルシーの守備再建とウパメカノの適性
チェルシーにとっても、ウパメカノは守備の再構築におけるキーマンだ。ウェズレイ・フォファナやブノワ・バディアシルといった若手CBが負傷に苦しむ中、経験豊富で即戦力となるウパメカノの存在は、守備陣の安定化に直結する。
エンツォ・マレスカ体制下でチェルシーはボール保持するスタイルを志向しており、ウパメカノのようなアスレティックでラインの裏をカバーできるCBは、まさに理想的なピースだ。加えて、彼のリーダーシップと国際経験は、若手主体のチームにとって貴重な財産となる。
ただし、チェルシーにとっての最大の障壁は、ウパメカノの高額な年俸要求だ。現在のチーム内での給与バランスを崩すリスクを孕んでおり、フロント陣には慎重な判断が求められる。
バイエルンの思惑と契約延長の行方
バイエルン側は、ウパメカノとの契約延長を強く望んでいる。ヴァンサン・コンパニ監督は彼に全幅の信頼を寄せており、守備の要として今後もチームを支えてほしいと考えている。しかし、交渉は難航しており、クラブ首脳陣は早期の合意を目指しているものの、ウパメカノの要求額が障壁となっている。
ドイツ紙『Bild』のトビアス・アルトシェッフェル記者は、「時間が経てば経つほど、バイエルンにとって不利になる」と警鐘を鳴らしている。ウパメカノが現在のコンディションを維持すれば、他クラブの関心はさらに高まり、契約延長にはより多くの資金が必要になるからだ。
個人的な見解
ウパメカノの去就は、欧州トップクラブの戦略と哲学が交錯するテーマと言える。
リヴァプールにとっては、守備陣の刷新と未来への布石。ファン・ダイクの後継者として、そしてコナテの穴を埋める存在として、ウパメカノは理想的な選手だ。
一方、チェルシーにとっては、若手主体のチームに経験と安定感をもたらす存在。ウパメカノのような完成度の高いCBは、守備だけでなくチーム全体の成熟度を引き上げる触媒となるだろう。
この争奪戦の行方は、プレミアリーグの勢力図を左右するだけでなく、バイエルンのクラブ哲学にも影響を与える。
ウパメカノがどのユニフォームを選ぶのか。その決断は、2026年シーズンの欧州サッカーを大きく揺るがすことになるかもしれない。
