バルセロナがロサンゼルスFCのソン・フンミン獲得に動いているというニュースが再び熱を帯びている。スペイン紙『Fichajes』によれば、バルセロナはMLSのオフシーズンを利用し、ローン移籍で彼を迎え入れる可能性を探っているようだ。契約にはヨーロッパ復帰を可能にする条項が含まれており、クラブはこの機会を逃すまいと交渉を加速させている。
ソンはトッテナム・ホットスパーで10年間にわたりキャプテンとしてチームを牽引し、2025年5月にはUEFAヨーロッパリーグ制覇を果たした。その後、フリーでLAFCに加入すると、わずか10試合で9ゴール3アシストを記録し、MLSの舞台で圧倒的な存在感を示している。
さらに10月18日のコロラド・ラピッズ戦ではクラブ通算500ゴール目を決め、LAFCの歴史に名を刻んだ。依然として世界トップレベルの決定力を保持していることを証明している。
バルセロナが彼に注目する当然と言える。攻撃陣は負傷者が相次ぎ、特にウィングとセカンドストライカーの層が薄い。ラミン・ヤマルやフェラン・トーレスといった若手は才能を示しているが、経験不足は否めない。ソンの加入は、即戦力としての得点力だけでなく、若手への刺激やリーダーシップの提供という副次的効果も期待できる。
MLSでの復活とラ・リーガ挑戦の現実味
ソンのMLSでの活躍は、リオネル・メッシがインテル・マイアミに与えた影響と比較されるほど。33歳にして「MLSニューカマー・オブ・ザ・イヤー」の最終候補に選出されるなど、その存在感はリーグ全体を揺るがしている。
欧州でのキャリアを終えた選手がMLSで第二の人生を送るケースは多いが、ソンの場合はむしろMLSを跳躍台にして再び欧州のトップ舞台へ戻ろうとしている点が特異だ。
バルセロナにとっても、ソンはいわゆる短期補強ではない。彼の両足を駆使したカットイン、縦への推進力、そしてゴール前での冷静なフィニッシュは、現在のチームに欠けている要素を補完する。
特にレヴァンドフスキとの相性は注目に値する。中央でポストプレーを担うレヴァンドフスキに対し、ソンがサイドから鋭く侵入する形は、相手守備を切り裂く強力な武器となるだろう。
また、ソンは韓国代表として137キャップを誇り、チャ・ボムクンやホン・ミョンボを超える歴代最多出場記録を更新したばかり。その経験値は、若手主体のバルセロナにとって計り知れない価値を持つ。短期ローンであっても、彼の存在はチームの精神的支柱となり得る。
個人的な見解
ソン・フンミンのバルセロナ移籍は、現実的かつ戦略的な一手だと考える。
クラブの財政難を考えれば、長期契約は難しいが、MLSのオフシーズンを利用したローン移籍はリスクを最小限に抑えつつ即効性を期待できる。
しかも、ソンは今季すでに9ゴール3アシストという結果を残しており、コンディション面での不安は少ない。彼がカンプ・ノウのピッチに立てば、観客の熱狂は間違いなく高まるだろう。
一方で、33歳という年齢は無視できない。ラ・リーガの強度に適応できるか、シーズンを通してパフォーマンスを維持できるかは未知数。
しかし、ソンのキャリアを振り返れば、常に逆境を力に変えてきた選手である。ドイツ、イングランド、そしてアメリカで成功を収めた彼が、スペインで新たな挑戦を選ぶことは自然な流れに思える。
ティエリ・アンリがアーセナルに短期復帰してファンを熱狂させたように、ソンの加入はバルセロナにとって象徴的な瞬間となるはずだ。個人的には、この挑戦が彼のキャリアをさらに輝かせると確信している。
