リヴァプールはプレミアリーグで苦しい戦いを強いられている。アルネ・スロットのチームは10月に入ってからリーグ戦で4連敗を喫し、王者としての威厳を失いつつある。攻撃陣は依然として破壊力を誇るものの、守備の脆さが試合の行方を決定づけてしまう場面が増えている。
クラブは冬の移籍市場での補強計画を大幅に修正し、センターバックの獲得を最優先に据えている。その中で再び名前が浮上しているのが、クラブ・ブルッヘに所属するエクアドル代表DFホエル・オルドニェスである。
21歳にして188センチの体格を誇り、空中戦の強さと対人守備の粘り強さで評価を高めてきた。リヴァプールは昨夏にも彼をリストアップしていたが、クラブ・ブルッヘが売却を拒否したため実現には至らなかった。しかし今季の不安定な守備を受け、再び4000万ユーロ規模のオファーを準備しているとポルトガル紙『A Bola』が報じた。
ホエル・オルドニェスの特性とリヴァプールへの適合性
オルドニェスの最大の武器は、圧倒的なフィジカルと冷静な判断力の両立だ。ベルギーリーグでは1試合平均3回以上のインターセプトを記録し、空中戦勝率は70％を超える。これはプレミアリーグでも即戦力として通用する数値であり、リヴァプールが彼に注目する理由を裏付けている。さらに、後方からのビルドアップ能力も備えており、スロットが志向するポゼッション型の戦術に自然に溶け込むことができる。
現在のリヴァプールは、フィルジル・ファン・ダイクが34歳を迎え、イブラヒマ・コナテが契約満了での退団が噂されているからか安定感を欠いている。ジョー・ゴメスは複数ポジションをこなせるが、センターバックとしての信頼性は揺らいでいる。こうした背景を考えれば、オルドニェスの加入は緊急補強にとどまらず、守備の未来を託すプロジェクトの一環といえる。
さらに注目すべきは、オルドニェスがクラブ・ブルッヘと2029年まで契約を延長したにもかかわらず、リヴァプールが依然として獲得を諦めていない点。これはクラブが彼を長期的な守備の柱と見なしている証拠であり、資金面でのリスクを冒してでも動く価値があると判断していることを示している。
他クラブとの競争とリヴァプールの決断
ただし、リヴァプールがオルドニェスを獲得する道のりは平坦ではない。ニューカッスルやアストン・ヴィラも彼に強い関心を示しており、資金力とプロジェクトの魅力でリヴァプールを上回る可能性がある。特にニューカッスルは近年積極的な補強を続けており、若手有望株を引き抜く動きに躊躇がない。
一方で、リヴァプールはプレミアリーグ王者から転落しかねない現状を打破するため、即戦力の補強を迫られている。ニコ・シュロッターベック（ボルシア・ドルトムント）やマルク・グエヒ（クリスタル・パレス）といった他の候補も報じられているが、交渉の難易度や移籍金の高騰を考慮すると、オルドニェスが最も現実的なターゲットとなり得る。
個人的な見解
リヴァプールがホエル・オルドニェスに注目するのは、緊急対応にとどまらず、未来を見据えた布石だと考える。ファン・ダイクの衰えとコナテの不安定さを補うだけでなく、数年後の守備の中心を担う存在として計算できるからだ。
彼のプレースタイルはプレミアリーグの激しいフィジカルバトルに適応できる素養を持ち、さらにスロットの戦術に合致する点も大きい。
ただし、リヴァプールが本当に彼を獲得できるかどうかは、クラブ・ブルッヘの強硬な姿勢と競合クラブの動きに左右される。
ニューカッスルやアストン・ヴィラが資金力で攻勢をかければ、リヴァプールは交渉で不利に立たされる可能性がある。
それでも、今のリヴァプールにとって守備の再建は避けて通れない課題であり、オルドニェスのような若き才能に賭けることは、クラブの未来を左右する決断になるだろう。
アンフィールドの観客が再び安心して守備を見守れる日が来るかどうか。その答えは、この冬の移籍市場でのリヴァプールの動きにかかっている。